ですが、この二人のモデルになったと思われるカップルがタイタニック号には乗船していたのです。
許されない恋
19歳の女性、ケイト・フロレンス・フィリップスとその20歳年上である上司、ヘンリー・モーリーはいわゆる不倫カップルで、二人はイギリスからロサンゼルスへの逃避行のためにこのタイタニック号に乗船します。
二人とも二等船室の乗客でジャックとローズのように身分違いの恋、というわけではなかったようですが許されない恋であることは変わりありませんでした。
”碧洋のハート”のモデルになったネックレスも存在
ケイトはヘンリーから愛の証としてブルーのサファイアのネックレスを贈られており、この事実に監督はインスピレーションを受けて映画「タイタニック」のジャックとローズを誕生させたそうです。
ジャックとローズと同じく、ケイトは救助されましたがヘンリーは帰らぬ人となりました。
この時はまだわかっていなかったようですがケイトはヘンリーとの子供を身ごもっていたということです。
愛の証のブルーサファイアのネックレスはケイトとヘンリー、二人の子孫に受け継がれ時代が変わっても二人の愛を証明し続けています。
最期まで愛を貫いた二人
こう書くと物語の主人公であるジャックとローズのことを思い浮かべるかもしれませんが、映画「タイタニック」の劇中には最後までお互いのことを信じ、想い合って犠牲になった実在の老夫婦が描かれています。
高潔な意志と二人の絆
裕福な実業家であるイジドー・ストラウスとその妻アイダです。
当然彼らは一等船室の乗客であり、高齢でもあったため数少ない救命ボートに乗れるチャンスは用意されていたのですが、夫のイジドーは女性や子供を差し置いて自分が先に助かるのを潔しとしませんでした。
妻アイダのみ救命ボートに乗せようとしますが、アイダは夫と運命を共にすることを選択。彼女の代わりに自分たちの侍女をボートに乗せます。
映画では夫妻は客室のベットで横たわりながら亡くなるように映画では描かれています。
ですが、実際はデッキで抱き合いながら救命ボートを見送っていたところ、大波にさらわれたと目撃者は証言しているようです。
演奏し続けた音楽家たち
タイタニック号が氷山の衝突しその運命が決定づけられたとき、乗船していた人たちはパニックになりました。
無理もないことです。
誰もが、専門家でさえもが沈むことなど思いもししなかった最新鋭の「不沈船」は処女航海で沈むというのですからその衝撃はかなりのものだったでしょう。
しかも救命ボートは全く足らず、時間が経つにつれて自分がこの後どのような運命に陥るのか、その様相が明らかになってきます。
女性や子供を押しのけて救命ボートに盛り込もうとする男性、パニックになって係員に押し寄せる人たち……。我を忘れる人たちが混乱を引き起こします。
冷静さを失っていない理性的な人たちももちろん存在しましたが、皆がこの後訪れる運命の残酷さに打ちひしがれている、そんな状況でした。
心の平安のために
その中で乗客たちに少しでも心の平安を提供するために音楽を奏で続ける音楽家たちがいました。