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吉高由里子、高良健吾、ARATA(現・井浦新)といった今をときめく俳優たちが体当たりのラブシーンを熱演。
演出会の鬼才である故・蜷川幸雄が監督を務めたことでも話題となった映画『蛇にピアス』。
小説家・金原ひとみさんが第130回芥川龍之介賞を受賞した小説を映画化したものです。
東京で行き場なく生きる若者たちの数奇な運命の物語。
一見するとエログロの要素ばかりが印象的ですが、その裏には作り手から観客への「生きる」ということへの問いかけが描かれています。
謎とラストシーンに様々な解釈ができる本作ですが、登場人物であるアマを殺したのは誰だったのでしょうか?
ルイが刺青に眼を入れた理由とこの作品で描かれる「生きる意味」についても考察してみましょう。
アマを殺したのは誰だったのか?
終盤でアマは何者かによって殺されているところを発見されます。果たしてアマを殺害した犯人は誰だったのでしょうか。
1つ目の可能性
1つ目の可能性はアマが喧嘩の末に殺害してしまった暴力団の関係者でしょう。
アマが喧嘩した二人の男のうち一人は現場から逃げ去りました。
逃げのびた男がアマの特徴から居場所を探し出し、報復を行った可能性は考えられます。
2つ目の可能性
2つ目の可能性はシバです。
アマの遺体は爪がはがされ、無数の煙草を押し当てた跡があり陰部にはお香が差し込まれていました。
アマの体はどこにも無事な個所がないという悲惨な状態。
ルイは煙草やお香がシバが使っていたものと同じであったことから彼が犯人と確信します。
動機は何でしょう?作中の描写からは以下のような動機が考えられます。
- シバが本気でルイを愛しはじめたためアマが邪魔になった。
- バイセクシャルであるシバがアマに行き過ぎたSMプレイを行った結果殺害してしまった。
- 殺人衝動のあるシバが欲求を満たすために、殺されても怪しまれないアマを狙った。
ルイが刺青に眼を入れた理由
ルイはシバに入れてもらった刺青に最後に眼を入れました。それは何を意味しているのでしょうか。
新たな人生を生きるため
ルイはシバの手で背中に龍と麒麟の刺青を彫ってもらいました。
しかし、画竜点睛のことわざの意味にならって龍と麒麟が飛んでいかないようにと瞳を入れていませんでした。
龍はアマを、麒麟はシバを意味しています。
しかし、アマが死んだ後ルイは刺青に瞳を入れる決意をしました。
作中のルイはアマとシバという二人の男に依存して生きている存在。
そんなルイが刺青に眼を入れることで、二人から独立して新たな人生を生きていく決意を固めたことが暗示されています。
二人の男の死を意味するため
アマは殺害され、ルイのもとから飛び立ってしまった。
シバも生き残っているとはいえアマを殺した殺人犯。いつ警察に捕まるかわかりません。