いつでも蘭の救世主は新一でなければいけない事が非常によくわかる作品でした。
夢の国のような皆が楽しく遊ぶ遊園地が舞台となった事で、蘭のヒロイン度は一層際立ってみえます。
夢の中にいるのかこれは現実なのか、といった曖昧さを醸し出す演出が本作の見どころです。
蘭とコナンの関係性
事件のショックから記憶を失った蘭ですが、新一の事は何となく覚えている様子から、蘭と新一のお互いを想い合う愛情の深さが感じられます。
新一の事を尋ねる蘭にコナンこう言います。
たぶん蘭姉ちゃんのことを一番に考えていて、でもそういう気持ちを素直に言えない人だと思うよ
引用:名探偵コナン 瞳の中の暗殺者/配給会社:東宝
この台詞から“いつも側にいるよ、見守っているよ”という新一の感情が見てとれます。
新一の姿では到底素直に言えないけれど、コナンの姿であれば言える、という精一杯の照れ隠しがこの台詞には込められているのです。
思い出の地トロピカルランド
二人の初デートの舞台である“トロピカルランド”で新一は黒の組織に襲われコナンの姿になってしまいます。
二人の思い出の地という事でコーラや噴水も、ラストの伏線を回収する非常に絶妙な小道具になっていました。
園子が蘭の頬にコーラをあて、蘭が新一を思い出しそうになるシーンなどは蘭の新一への想いの深さを感じ取れる場面です。
記憶喪失になっても新一の事やトロピカルランドの事をうっすらと覚えていた蘭。
もしかすると、蘭の想いの深さの方が新一よりも勝っているのかもしれません。
“待つのは女の本能”なんて言葉がありますが、蘭は新一の事を“好き”と同時に尊敬もしているのだと感じ取れます。
人間として尊敬し、敬愛しているからこそ、蘭は新一の事を時に不安になりながらも待つ事ができるのです。
蘭が記憶を取り戻せた理由
噴水が吹き出ると同時に記憶を取り戻した蘭ですが、なぜあのタイミングだったのでしょう?その理由に迫っていきます。
二人のかけがえのない思い出
時間が来ると吹き出す噴水は新一が蘭に教えてくれた大切な思い出です。
また佐藤刑事が撃たれた時に勢いよく水道の水が噴出した事を連想させるものでした。
コナンはその事を周知の上で蘭を噴水のところへ連れて行ったのです。
そして同時に自分とのかけがえのない時間を思い出してほしい、というコナンの切実な願いであり、また賭けでもありました。
そしてその願いは蘭にとっても同じものだったのです。
「思い出したい、写真に写っているあの人の事を!」そういう蘭の想いと新一の想いが見事シンクロして奇跡が起きました。