そして、紅葉との闘いの際に気付くのです。「争ってはいけない、みんな敵ではない。」と。
そして、平常心と集中力を取り戻した和葉は紅葉に勝つ事が出来たのです。これは、先の平次がモテる理由であった事と酷似しているともいえますね。
頼れる仲間がいるからこそ、闘いに集中出来て、勝利につながるということからも和葉と紅葉の決定的な違いは助けてくれる仲間がいたかどうかです。
映画の中には、出てこないもう一つの仲間の物語
そして、和葉と平次が劇場版に登場するのは、今作が実に4年ぶりでした。
何故そんなにも長い間、登場しなかったのでしょうか?
和葉役の宮村優子さんの病気
そこには、和葉役の声優・宮村優子さんの病気が関係していました。
宮村優子さんは、2007年からバセドウ病に掛かり2013年には呂律が回らなくなることもあるほどに悪化してしまいました。
声優にとって言葉が喋れなくなるという事は致命的です。
そこで宮村優子さんは、2013年の夏に名探偵コナンのプロデューサーの諏訪道彦さんに降板する意思を伝えます。
リアルの世界でも仲間が助けてくれた
しかし、諏訪道彦さんは「治療に専念して何とか続けて欲しい」という事を宮村優子さんに伝えます。
結果、宮村優子さんは、治療を行いながら名探偵コナンのテレビシリーズには出演し続けてきました。
そして、2017年についに病気を克服し、劇場版コナンに4年ぶりにメインキャストとして復帰を果たしたのです。
映画の外でも助けてくれる仲間がいたという事ですね。
最後に「百人一首に込められた思い」を知る
ここまで【名探偵コナン から紅の恋歌】をネタバレを含みつつ劇中で描かれた三角関係を考察してきました。
いかがでしたでしょうか?
コナンサイドよりも平次と和葉、そして紅葉にフォーカスした今作では、百人一首の歌も重要なポイントとなっています。
例えば「和葉の得意札」です。
しのぶれど 色(いろ)に出(い)でにけり わが恋(こひ)は ものや思(おも)ふと 人(ひと)の問(と)ふまで
引用元:名探偵コナン から紅の恋歌/配給:東宝
どんなに隠していても私の恋心は顔に出てしまっているという様な意味を読んだこちらの和歌。
ストーリーの中では、和葉が平次に対して恋心を隠しているが周りにはもう、ばれているという事を表しているようです。
これはプロデューサーの諏訪道彦さんから、宮村優子さんに対してのメッセージが込められているような気がします。
どんなに隠していても「まだやりたい」という事は、顔に出ているよ。そんなメッセージではないでしょうか。
今回の作品からは、仲間を助ける大切さをストーリーからも、制作サイドからも感じ取ってほしいです。
この解説を読んで、改めて【名探偵コナン_から紅の恋歌】をご覧になってみてはいかがでしょうか。
きっと初見とは違った見方ができるはずですよ。