安定した大企業に勤めるのではなく、やりたいことに挑戦したいという若い人のロールモデルの一つとしてエドワードを見ていくのも面白いです。
傍若無人の金持ち
カーターの隣のベッドには、結婚4回、好きなものを飲み食いし、欲望に忠実な成功者のエドワードがいます。
彼には見舞いは家族は誰も来ません。それでもお構いなしで寂しさも見えません。
秘書に命令してやりたいことをやって、好きな物を食べ続け、それはそれで享楽的で幸せそうです。
もしかしたら、古い世代の日本人が恐れていたものは幻想であり、我慢する生活を合理化するための論理だと思わされます。
自由に生きても恐るほどのことはないのかもしれません。
人生の価値
全く違う2人ですが、お互いに自分の人生はこれで良かったと納得しているようです。
何かを得ようとした何かは捨てなければならない、人生とは取捨選択の繰り返しです。
選択のときに迷うことはあっても、後で後悔するような言動は2人ともになく、受け入れています。
受け入れてはいても、やり残したと感じることはあって当然です。
女性からすると、カーターは浮気もせず問題も起こさず真面目な人です。理想的なコントロールしやすい夫でしょう。
家族は円満で、愛に溢れ、何の問題もない関係ですが、カーター自身の人生が置き去りにされています。
彼は勉学が中断しているのもあって、コツコツ知識を学び溜めていてクイズに強いです。
それは、学びたかったという希望の表れでもあるし、悔いでもあるでしょう。
エドワードはそれを見抜いたかのように、旅に誘います。
自分のやりたかったことを、1つでも多く叶えよう、という男の旅が始まります。
やりたいことリスト
品行方正なやりたいことを書いたカーターに対し、エドワードはさらにスリリングでエキサイティングな内容を書きます。
人は皆、若い頃からの習慣を強化するような行動を取り続けているのです。
若いときの価値基準で選んだことを、そのまま続けている人生だから、晩年期になったらその傾向が強まるのは当然のことです。
すぐにブレーキを踏む人生
スカイダイビングのときに、パラシュートをなかなか開かないエドワードと、早く開いてしまう安全志向のカーター。
ギリギリまで危険なことをするのが、楽しいというのがわかっているのがエドワードの人生です。
それに対して、カーターは危険は先に回避して安定した安心を選ぶ人です。
これまでの人生が、どのような基準で選択されていたのかが、よくわかるシーンです。
安全ではないが面白い方を選んできた人と、安全第一に生きてきた人とが一緒にスカイダイビングを楽しみます。
川の流れのようなもの
人生には避けようのないものがあって、その中で精一杯やるしかないというのは、2人の合致した意見のようです。
人生の大きな流れの中で逆らわず、後悔しないように思いっきり楽しめばいいのでしょう。
エドワードのような豪放磊落な人生も、カーターのような安全な人生もどちらでも良いのです。