そしてその夜、ルーシーが就寝前の「Stellaluna」を音読するシーンで「different(違う)」という単語が読めないと嘘を言いました。

2羽は長い間、静寂の中にいました。「僕たち 姿は・・・けど・・・」

引用:「アイアムサム」/配給会社:ニュー・ライン・シネマ

コウモリのイソップ寓話

サムは父親として読ませようとしましたが、ルーシーがdifferent(違う)という言葉を言うとサムが傷つくと思い読まなかったのでしょう。

この「Stellaluna」という絵本の物語は生まれてすぐ母親とはぐれたコウモリが、鳥の親に育てられ鳥らしくなるお話しです。

イソップ物語の「卑怯なコウモリ」は嘘つきの象徴なので、コウモリも鳥に育てられることで鳥の習慣に馴染んでいく話しにかけたのでしょうか?

ルーシーが“チョイス”した「嘘」で状況が動く

学校では父親のことで友達からからかわれていたルーシーは、7歳の誕生日会でサムは本当の父親でないと友達に嘘をついていたことが知れます。

ルーシーがサムを「本当の親じゃない」と言ったのは、からかう友達がうっとおしかっただけでサムを傷つける嘘ではないはずです。

しかしその嘘が原因でルーシーは施設に保護され別々に暮らすこととなり、ここからサムとルーシー親子の幸せの形が動き出しました。

ルーシーを取り戻すためのサムの“チョイス”

時代を越えて読み継がれる、このスース博士の名作は、1960年に出版されて以来ずっと読者を楽しませてきた。

サムがルーシーの親権を取り戻すために“チョイス”したことは有能な弁護士を雇うことです。

弁護を請け負う気のない弁護士のリタでしたが、そんなことはわからないサムはしつこくオフィスに足を運びます。

その姿はルーシーにくり返し読ませていた絵本「Green Eggs and Ham」の話しとリンクしています。

食べてみなければわからないこと

「Green Eggs and Ham」に出てくる「Sam-I-am」は、主人公に新作の料理を食べさせたいが見た目の悪さに拒否され続けます。

「Sam I am」は、まるで電話のセールマンのようなしつこさです。

自分が作った新メニュー「緑色の卵焼きとハム」を何が何でも友人に食べさせようとします。

友人は疑り深くなかなか食べないので、Sam I amは悪戦苦闘して「新料理」を食べるように勧める。

引用:「Green Eggs and Ham」

自分がルーシーの父親であり一緒に暮らすことが最善だと、リタに主張し続けるサムの行動がまさにこの物語のサムと重なりました。

結果的に諦めずに訴え続けることでサムは有能な弁護士を無償で得ることができたからです。

物語は「見た目だけで拒否した料理が実は美味しかった。」というお話なのです。

負け知らずの弁護士リタが“チョイス”し得たもの

アイ・アム・サム (竹書房文庫) (日本語) 文庫

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