自分の行動が完全に読まれていたと気づいたのです。
彼が楽しんでいるのは、そんなギリギリのスリルある駆け引きだということがわかるシーンといえるでしょう。
お互いに一歩も引かない勝負でしたが、相手の心理を読んだコナンと、上手く逃げたキッドとで、前半戦は引き分けといっていいでしょうか。
後半に持ち越された勝負の行方に、期待が高まる構成となっています。
女性キャラクターにも注目!
コナンとキッドのライバル関係が際立つ今作ですが、他にもたくさんの対比構造がみられます。
特に今作は、蘭以外の女性キャラクターにも注目すべきポイントがあります。そちらをみていきましょう。
歩美ちゃんの乙女心 ファンデーションと耳抜き
歩美ちゃんの楽屋での行動や飛行機で耳抜きをするシーンが、殺人事件の真相解明をする手掛かりになりました。
キッドや殺人事件とは直接の関係が無くても、少年探偵団もしっかり事件解決に関わるファンには嬉しい展開といえるでしょう。
お化粧道具に興味を持つのは年頃の女の子らしく微笑ましい描写。
耳抜きに関しても、好きな異性に見られたくなかったという乙女心の解説にもなっているのです。
ただ、それに対しコナン(新一)はわかったようなわからないような表情……。
完全にラブコメ主人公の鈍感さですが、このあたりが後になってまた効果的に働くシーンがあります。それについては後述します。
名探偵 妃英理?
調べるてみると、意外な事実がわかります。
英理が探偵役になったのは、原作・アニメを通して本作が現在のところ唯一である。
引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/名探偵コナン_銀翼の奇術師
英理が探偵役になる必然性は、ストーリー上はありませんでしたが、なぜだったのでしょう。
不時着の衝撃から守るため、小五郎は眠った英理をずっと抱きかかえていました。
いつもはケンカばかりですが、そんな姿には、本当に必要な時には助け合う夫婦の絆が伺えるようです。
歩美とコナン、そして蘭と新一と比べると文字通り大人の関係で、物語に深みが増して感じられます。
蘭の計らいで、小五郎がいることを知らずに呼ばれた英理。
ただ飛行機に同乗していただけでは存在感が薄いため、探偵としての役割を持たせられたと考察してもいいのではないでしょうか。
今回、監督の交代に伴い、いつもの小五郎から敢えて変えてみせることで、新たな試みに挑戦した側面もあったのかもしれません。
そう考えると、英理の探偵役としての起用にも筋が通っているように思えてこないでしょうか。
蘭の告白 秘められた真意
電話越しに、蘭が新一に思いを打ち明けるシーンがありました。
ヒロインの告白といえば超重要な場面。物語が大きく動くのか?と思わせますが、ラストで結局、蘭はそれをうやむやにしてしまいます。