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難解なセリフが多い「もののけ姫」ですが、セリフをひも解いていくと時代背景や登場人物の立場など様々なことが判明します。
より深く映画を楽しみたい人の為に、謎多きシシ神の実像やサン、アシタカの人間性を詳しく考察していきます。
もののけ姫の原作絵本がある
もののけ姫は1997年に発表されていますが、実はその4年前に同タイトルの絵本「もののけ姫」が発売されています。
1993年に発行された「もののけ姫」
宮崎駿作の絵本「もののけ姫」は映画の原作と言われています。制作当初のタイトルは「もののけと姫」というものでした。
原作に登場するのもののけは、親しみやすい猫の姿をしています。
アシタカやサンも登場せず原作といってもタイトルが一緒のストーリーといっても過言ではありません。
原作はもののけ姫と全く違うストーリー
原作である「もののけ姫」は武士がもののけの屋敷の食料を盗み、見返りに娘(三の姫)を嫁に出すというもの。ここまではなんとなくサンに共通するものがあります。
しかしその後武士は悪霊に取りつかれ、もののけと三の姫は苦労を重ね共に悪霊を追い払います。
最後にもののけと姫は心から結ばれるというのが原作のストーリーです。
原作は映画版とはだいぶ異なりますが、原作版の映画として見てみたいという声も多数上がっています。
原作との共通はサン
原作を見てみると、もののけに差し出された姫の名前が三の姫、この名がサンになったともいわれています。
また原作の中では、国が生まれた時からの森が登場しています。この森こそモロやシシ神が暮らす森なのかも知れません。
もののけ姫の時代はセリフから読み取れる
もののけ姫を観ると戦国時代のような雰囲気を感じますが、実際の所はどの時代に設定されているのでしょうか。
その答えは難解なセリフの中に潜んでいます。
「大和との戦に敗れ五百有余年」
蝦夷の隠れ里のお婆さんは「大和との戦に敗れ五百有余年……」といっています。
ここでの戦は、平安時代に東北地方で起こった前九年の役や後三年の役を指しています。
この戦いは大和と呼ばれる源頼義らが、現在の東北地方である陸奥に攻め込んだ戦いです。
時代は1051年頃から1087年頃なので、この戦から500年程後ということになります。
簡単に計算すると、もののけ姫の時代は15世紀ごろと割り出せます。15世紀といえば日本は室町時代になります。
「明国のものは重くて使いにくい」
更にエボシ御前は日本に伝来されたばかりの鉄砲を持って「明国のもの……」といっています。明は1368年から1644年まで栄えた中国の王朝です。
鉄砲が日本に伝わったのは1543年といわれているので、時代的に室町時代と合致しています。