この言葉が暗示すると考えられるものを幾つか挙げてみました。

追われる者

Wantedという言葉を見て聞いて、最初にイメージするものはやはり“おたずね者”でしょう。

英語で「指名手配犯」を意味し、警察や組織に“追われる者”、或いは“狙われる者”ということになります。

劇中で“追われる・狙われる者”として描かれる人物は3います。

1人目は、ウェスリーが最初に復讐を目論む父親の殺害者(とされている)クロス。

まだ真相を知らなかったウェスリーが狙う標的です。

2人目はウェスリー自身。3人目は、ウェスリーを騙して父親を殺害させたスローンです。

凄腕の暗殺者として覚醒したウェスリーにとっては、罠をしかけてスローンをおびき寄せるのはたやすいことでした。

犯罪者

殺し屋へと変貌したウェスリー。

皮肉なことに自分に完璧にフィットする生き方に到達した時、ウェスリー自身が犯罪者=ウォンテッドの立場になってしまったと解釈することも出来ます。

それは父親の面影を求めて自身を突き詰めていけばいくほど、父親と同じ凄腕の暗殺者に近づいていったということでもありますね。

つまり、この映画のアイロニカルな二重構造の一部となっているのかもしれません。

求めていたもの

Wantedロゴ

この「ウォンテッド」は他の2つとは違う意味合いになり、しかもこの映画のメイン・テーマを暗示する言葉とも考えられます。

Wanted、つまりWant=欲するの過去形であるこの言葉は、言葉を補えば I wanted this.

ウェスリーがずっと望んでいたもの求めていたものという意味を持っているのです。

それこそは、”本当の自分”。ウェスリーが芯から望んでいたもので、最後に手に入れることの出来たものでした。

まとめ

ジェームズ・マカヴォイ (ウォンテッド) 直筆サイン入り写真

この映画は平凡な青年が暗殺者へと覚醒していく物語ですが、その裏に隠されたテーマは、“真の自己発見”です。

本当の自分がわからないまま空虚感を抱えて暮らしてきた青年が、父親の存在を知ることによって自分のルーツを知ります。

そして無意識にせよ、長い間探し求めていた本来の自分を発見するのです。

けれど、ウェスリーの未来は実際は誰にもわかりません。

このまま暗殺者として生きていくのかもしれませんし、別の生き方を始めようとするのかもしれません。

ですがいずれにせよ、この先彼が今までとは全く違う人生を力強く生きていくことだけは確かです。

ウェスリーの最後の言葉は、観る者に「今の自分の生き方はどうだろう?」と思わせるメッセージ性があります。

「従来の生き方に甘んじて、自分自身にフィットする生き方を忘れてしまっているのではないだろうか?」と考えるよう迫るのです。

自分が本当に欲しているものは何なのだろうかと、モヤモヤした想いを抱えて生きている人は多いと思います。

そういった意味で、この映画は「本当の自己は何か?」「自分はそれを見つける為に何か行動を起こしたことがあるだろうか?」と問いかけるのです。

私達の生き方に対する根本的な問題を突きつけてくる映画だといえるのではないでしょうか。