出典:https://www.amazon.co.jp/dp/B000C5PNTG/?tag=cinema-notes-22
1960年代の東京の街並みをジオラマとVFXで忠実に再現し公開当初から大注目されました。
『ALWAYS 三丁目の夕日』(2005年11月公開)は西岸良平の漫画「三丁目の夕日」(小学館)が原作です。
監督:山崎貴、主演: 吉岡秀隆、第29回日本アカデミー賞(2006年3月3日発表)最優秀作品賞:「ALWAYS 三丁目の夕日」など
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/ALWAYS_三丁目の夕日
2006年日本アカデミー賞の他にも国内の各メディアにて映画賞の数々を受賞しています。
今回は劇中さまざまな人間模様がくりひろげられた中でも茶川とヒロミ、淳之介に焦点をあて、ラストシーンの鈴木家の想いにも迫ります。
「ヒロミ」はどんな女性なのか?
繁華街の劇場「ゴールデン座」の踊り子からめぐり着いた町で、居酒屋「やまふじ」を開いて間もないということはわかりました。
店を持つ前は長い間「踊り子」をしていてやっとそこから「足を洗った」ということは、ストリップ劇場などの踊り子だったのでしょう。
時代的に一般女性が大金を稼ぐにはそういう仕事をするしかないのですから、ヒロミには長い間経済的な苦労があったと思われます。
飲み屋のおかみ「ヒロミ」
天真爛漫で愛嬌のある「ヒロミ」は、お客を手玉に取るような商売はしない気立ての良さが立ち振る舞いから伝わります。
おまけに美人なのでヒロミ目当てで訪れる固定客もすぐにつき、店は順調に経営できているようでした。
ところが父親の治療費で借金がかさみせっかく出した店をたたみ、再び踊り子に戻るという自己犠牲もいとわない気丈さが伝わります。
お人よしで心優しい「ヒロミ」
淳之介をしぶしぶを預かったヒロミですが、淳之介をみつめる目は自分がそれまで送ってきた生活と重ね合わせた瞬間を見たようです。
お客として来ていた竜之介に淳之介を預けたのは、児童文学を書いているという竜之介の次の言葉から推測できることがあります。
「本当の意味で読める人間を育てたい」
「きちんとした子供を文学の力で育てていくのです」
引用:ALWAYS 三丁目の夕日/配給:東宝
単に邪魔者に思ったのではなく水商売の環境は子供にとって良くないと知っていて、少しでも良い環境をと思ったからではないでしょうか?
淳之介が求める者と憧れる者
母親のネグレクトによって淳之介は事実上、捨てられたかたちになってしまいました。
一平と同い年でありながら10年という短い人生の中で、大人の事情や忖度を感じとるまで成熟した感覚を持った少年になっています。
文学の力で育った子供
そんな淳之介の心を支えて続けていたのが竜之介の書いた児童小説「少年冒険団」でした。
ヒロミの店ででまかせで言ったことを証明するように「少年冒険団」が淳之介の心を創造力豊かで純粋に育んでいたのです。
さらに淳之介は真実を見極めて進むべく道を決められる強さも育っていたのでした。
血のつながりより大切なもの
淳之介にとって実の母親からの拒絶をされた体験は、突然現れたお金持ちで実の父親への不信にもなったはずです。
血のつながらない芥川が本気で自分を心配してくれたこと、時々様子を見に来てくれるヒロミの優しさに触れた経験は大きかったでしょう。
淳之介には血のつながりよりも自分を思ってくれている人の存在が大切であるということがわかったのです。