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「ゴッドファーザー」が描く壮大な物語はあなたに何をもたらしたでしょうか。
ドン・コルレオーネとマイケル・コルレオーネの生涯には多くの裏切りと死、そして彼らの不器用な愛が描かれていました。
ここでは「ゴッドファーザー」の登場人物を通して彼らが貫いた男の美学や苦しみ、そして愛と残酷さについて独自の視点から解説します。
ヴィトーのルーツから生き方を知る
ドンとして絶大な権力を手にし、ニューヨークマフィアの世界に君臨したヴィトー・コルレオーネ。
彼の人生はもちろん平坦なものではありませんでしたが、彼はこの人生を自らの手で選んだのでしょうか。
ヴィトーの選んだ人生
彼はシチリアに生を受けました。シチリアといえばご存じマフィアの起源とされている地でもあります。
19世紀ごろから勢力を拡大してきたといいますから、1891年生まれのヴィトーの幼少期はまさにマフィアが世間を圧巻していたような環境だったはずです。
彼は他の多くの人と同じく生まれながらにしてマフィアだったのではありません。それどころか、両親や兄をマフィアに奪われた被害者でした。
生き延びるためにシチリアからの脱出を余儀なくされたヴィトーはマフィアを憎んでいたでしょう。
にもかかわらず新天地ニューヨークの地で最終的にはマフィアのドンにまで上り詰めたことは、彼の人生そのものに暗い影を落とすことになります。
まっとうな仕事に最初はついていたヴィトー。
やむを得ない事情があったとはいえ、犯罪や殺しの道を避けることは可能だったはずです。多くの人がそうしているように。
しかし彼を脅かす存在が現れたとき、彼は容赦しませんでした。
「環境が人を作る」などといわれることがありますが、幼いころに身近に暴力が存在し、理不尽な理由で家族全員を殺されたヴィトーは同じ方法で邪魔者を排除し生きていくことを決めたのです。
有名なヴィトーの表情に隠されたのは
あれほどの巨大なファミリーを統率でき、事業の指揮を執っているのですから違う方向に向かっていてもその才覚を発揮して成功した人生を送れた可能性は高いでしょう。
ですが彼は他の方法を知らなかったのかもしれません。
それゆえに家族を殺した憎い存在に自分もなってしまった。あの有名な真上から影を落としたヴィトーの表情はそれを如実に物語っているのではないでしょうか。
しかしその憎んだ存在であるはずのマフィアになったからこそ家族の復讐も可能になりました。
巨万の富を手に入れて自分の新しい家族を大切にすることもできます。
ですがその代償に安らぎや心からの信頼というものは人生から失ってしまうことになったのです。
ヴィトーを蝕む闇
娘の結婚式という晴れやかで喜ばしいはずの日に暗い室内で人を殺す話をしなければならないいヴィトー。
彼の顔には濃い影が落ち目元は見えないほどです。
あの有名なシーンはヴィトーが歩いてきた人生、そしてヴィトーが抱える闇の深さや苦しみの暗喩といえるでしょう。
マイケルの存在
ヴィトーの跡を継いだマイケルはヴィトーに勝るとも劣らぬ恐ろしい男でした。
一番組織から遠くにいたマイケル
3人の男兄弟のなかでもっともマフィアとしてもファミリーからは遠くにいたのがマイケルです。
マフィアの仕事をすることはないといっていた彼があれほど恐ろしい男に成長することをはじめからヴィトーは読んでいたのでしょうか。
なぜマフィアの仕事を手伝っていたソニーやフレドではなくマイケルに後を託したのか、それはソニーやフレドの資質に問題があったということもあるのかもしれません。
しかしおそらくヴィトーはマイケルに自分に似たものを感じていたはずです。
魂のレベルで自分に似たものというのは共鳴するかのように感じ取れるといいます。