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「サヨナラまでの30分」は新田真剣佑と北村匠海のW主演で2020年1月24日に公開されました。
原作なしの完全オリジナル作品で、監督は「東京喰種トーキョーグール」などの作品を手掛けた萩原健太郎が務めました。
脚本は、代表作に「1リットルの涙」「花燃ゆ」などで知られる、大島里美が担当しています。
今回は劇中の、いつからカセットテープが上書きされていたのか、アキがフェスの時にカナの事を「カナさん」と呼んだ理由などを徹底考察していきます!
いつからカセットテープは上書きされていた?
映画内において重要な意味を持つカセットテープ。
アキと颯太の入れ替わりにおいて大切な役割を果たしています。
いつからカセットテープは上書きされていたのでしょうか?その謎を紐解いていきます。
アキは幽霊ではなく記憶が具現化したもの
アキは幽霊ではなく、カセットテープに入っているアキや周りの人達の記憶が具現化し、形になったものです。
カセットテープに異変がおき、アキが颯太の身体の中に入っていない時、再生ではなく勝手に録音ボタンが押されていました。
その事が原因となり、アキの思い出や存在が上書きされたといえます。
なので段々とアキと颯太の入れ替わる時間が短くなっていったのです。
廃墟のプールで泣いているカナを颯太が抱きしめた時、アキはカセットテープの異変に気付き、もう自分が居られる時間は長くないと悟りました。
カセットテープの上書きはこの頃から本格的に始まっていて、アキは自分の存在がもうすぐ消える事を感じたのです。
颯太とアキの対比
徐々に自分の居場所を見つけていく颯太と徐々にアイデンティティを失いつつあるアキ。
颯太が月ならアキは太陽、というくらい性格も行動も真逆の二入ですが、その立場も段々と変わっていきます。
颯太が自分の心を開き、カナや“ECHOLL”のメンバーと思い出を深めるにつれてカセットテープの上書きは起こっていたのです。
つまり颯太との時間が増えるにつれアキの記憶は削られていく、上書きされてしまうのでした。
孤独で一人を好む颯太と社交的で明るいアキ。
この二人の対比が映画においていいスパイスとなっているのです。
そしてカセットテープの上書きは、颯太が自分を見つけていく大事な過程となっています。
「俺にこじ開けられない扉はない」
引用:サヨナラまでの30分/配給会社:アスミック・エース
と言うアキが颯太の心をこじ開け、道標となったのです。
これは颯太の成長物語であり、カセットテープの上書きはその為に必要な事だったといえます。
アキを上書きしたくない颯太
もう一度再生ボタンを押してしまえばアキが消えてしまうと気付いた颯太は、アキに身体を貸す事を拒みます。
人の心の中に平気で土足で入ってくるアキを最初は鬱陶しいと思っていた颯太ですが、いつの間にかアキの存在を誰よりも大事に思っていたのです。
しかし、会社の最終面接を蹴ってフェス会場に向かった颯太は自分の為に、そして何よりもアキの為に自分自身が変わらなくては、と誓ったのでした。