出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B00FIWNDNG/?tag=cinema-notes-22
湊かなえさんのベストセラー小説を2010年に映画化した『告白』は、いじめや少年犯罪、家庭内暴力などの過激な話題を題材にしたR15+指定の作品です。
小説とは違うラストシーンに様々な憶測が飛び交い話題になりました。
娘を殺された森口先生が冒頭に撒いた復讐の種をラストシーンで、見事に回収していく姿に狂気性を感じるという声もありましたね。
犯人を自分で殺さなかった森口先生の理由、少年Aが爆弾作りにこだわった訳など、深い意味があるラストシーンを考察していきましょう。
少年Aが爆弾を作った理由
ラストシーンでで爆発しなかった爆弾は、なぜ少年Aの手によって作られたのでしょうか。
少年Aが爆弾作りにこだわった理由と爆弾がどうなったのかを整理しておきましょう。
母親に認められたい気持ち
虐待されながらも母を尊敬し、愛されたかった少年A。
母に認められたかった少年Aは発明品を作ることで報われない気持ちを消化していたのかもしれません。
自分を捨てて電気工学に夢中になる母は、少年Aにとって遥か遠い憧れの存在でした。
そんな手の届かない母への気持ちが高まった少年Aはどんな気持ちだったのでしょう。
おそらく、「母によりすごいものを作って褒めてもらいたい。死んだことを悲しんでもらいたい。」、そんな一心で爆弾作りに励んだのではないでしょうか。
少年Aが作った爆弾はどうなったのか
結果的に少年Aが作った爆弾は爆発しませんでしたし、少年Aが作った爆弾は森口先生から見るとお粗末な作りで、すぐに解除できる代物だったのです。
爆弾のコードにハサミを入れる場面は、現実なのか少年Aの想像なのかは不明で、森口先生はあえて真実を述べていません。
森口先生が少年Aに告げた最後の『告白』で少年の心は大きく乱され、絶望への道を歩み始めました。
少年Aが何度も言っていた「パチン」という音とは
少年Aは大切なものが壊れる時、“パチン”と耳元で弾ける音がすると告げていました。
幼少期、母に捨てられた時も“パチン”弾けたという、この音。ラストシーンで大きな意味をもたらします。
“パチン”の音に込められた意味とは
少年Aは、人が離れ関係性が壊れるたびに音がすると森口先生に話していました。
このシーンからは、教師と生徒という関係で打ち明けられた少年Aの苦悩を垣間見ることができます。
しかしこの音こそ、森口先生を猟奇的な復讐者へと誘う大きなヒントになっていたのです。
この“パチン”という音は少年Aにとっては大切なものを失うことを意味しています。
その音を味わわせ、絶望を突きつけるのが森口先生の最大の復讐だったのです。
森口先生の復讐では擬音語の変化に注目
ラストシーンで森口先生は大切な何かが壊れる音が消えたというような話をしています。
しかしその音は、少年Aが話していた“パチン”という音でなく、少年Aが作った爆弾が爆発し母親が死ぬ衝撃的な音でした。
このことを告げた瞬間、少年Aは絶望に打ちひしがれ、激しい後悔の念にとらわれてしまうのです。
「ドカーン」という衝撃的な音が少年Aへの復讐の決定打になったのかもしれません。
少年Aのタイムリープシーンの意味
少年Aが作った爆弾を母に届けたことを告げた森口先生の思惑はなんだったのでしょうか。