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『イット・フォローズ』は2014年に公開されたホラー映画ですが、新感覚ホラーとして話題になりました。
見た目は怖くない「それ」にゆっくりと、ただ付いてこられるだけという心理的恐怖を上手く演出しています。
「それ」はなぜ観る者の恐怖を煽るのでしょうか。
そして様々な解釈があるラストシーンはハッピーエンドなのか、マイカ・モンロー演じるジェイを追う「それ」の正体を徹底考察していきます。
「それ」が怖く感じる理由
本作は映画の冒頭が衝撃的ですが、「それ」自体は明確に描かれている訳ではありません。
見た目の怖くない「それ」に、なぜ観る者は恐怖を感じるのでしょうか。
死ぬことが怖いと冒頭で投げかけている
本作は少女が見えない何かに追われ、惨い最期を迎えるシーンからはじまります。
冒頭部分で見えない何かに追われ、捕まると死ぬという『イット・フォローズ』の概念を観客の心へ植え込んでいます。
だからこそ、「それ」が現れる度に捕まるとあの少女と同じように殺されるという恐怖を感じたのでしょう。
また、劇中でグレッグは得体のしれない「それ」によって殺された、と観客の心に恐怖を投げかけています。
特別ではない「それ」が猜疑心を煽る
本作では「それ」が異形ではないこと、周りにいる人間がもしかしたら「それ」ではないのかと思わせる緊張感がありました。
実際に、フォーカスされない場所でも「それ」らしきものが映っているシーンがいくつかあり、観客は心の中で「逃げて」と叫んでしまうのです。
日常の中に静かに忍び寄る「それ」が、なんともいえない恐怖感を生み出しているのでしょう。
「それ」の存在は人間の中に潜む恐怖や疑いを見事に引き出した、といえるのではないでしょうか。
観客がその場にいるような臨場感
本作は役者の自然な演技が高く評価されている作品です。
その裏にはこの映画におけるカメラワークにも絶妙な仕掛けがあったのではないでしょうか。
劇中には何度もジェイ視点だけでなく、まるで自分自身がその世界にいて普通に周囲を見渡しているようなシーンが登場します。
「それ」にあえてピントを合わせず、気がついた時点で焦点が合う、という繊細な演出も活きています。
実際の生活においても危険なものに常に焦点が合っているわけではなく、気づいてからフォーカスされていくものです。
この自然な日常感こそが「それ」に恐怖をまとわせていったといえるでしょう。
2人を追う「それ」の正体を考察
劇中で「それ」の正体は最後まで明確にされませんでした。