または、大佐は謎の諜報機関と関わりがあり、働いた悪事が世に明るみになるのを阻止する命令が下されていたのかもしれません。
クーはなぜ洋助の元を去ったのか
聞いてしまったお父さんの言葉
クーの救出には一度成功しますが、朝方キャシーと洋助のお父さんはこんな会話をしていました。
キャシー 「これが終わったらどうするつもり?」
お父さん「洋介と一緒にパゴパゴに帰るつもりさ、クーも元いた場所に帰して元の生活に戻るつもりさ」
引用元:遠い海から来たCOO/配給会社:東映
クーは頭のいい海洋生物です。この会話を近くで聞いていてどう感じたのでしょうか。
クーは2人の会話を聞いた時「ずっとは一緒に居られないんだ」と感じたはずです。
今のクーが元いた場所を覚えているかわかりませんが、きっと悲しかったのではないかと想像できますね。
そしてこれまで自分が原因で起こった様々なことを思い出してみると、そこにはいつも洋助がいてくれたことに改めて気づいたのでしょう。
クーの心境
身を挺して守ってくれた洋助を自分のせいで危険な目に遭わせるわけにはいかない…。そう思ったのかもしれません。
クーはトリトン号に向かって何度も鳴きます。それはまるで洋助の身を案じているようです。
洋助と再会し喜んでいるクーを目掛けて大佐が発砲した瞬間、クーの態度は一変し、涙目になって逃げてしまうのです。
ことからも、自分が近くにいると母親である洋助がまた危険に晒されると恐れたことが分かります。
このままではいけない!と思い、仲間に助けを求めにいったのではないでしょうか。
まとめ
改めて今観ることにとても意義がある映画だと思います。
洋助は母親を亡くしていますが、理由となった事件が今の日本の問題を感じさせるからです。
洋助の母親は、国会議員の男によって轢き殺されました。しかし権力がその事実を握りつぶし、犯人が刑務所に入る事はなかったのです。
昔からこんなことがあったと思うと悲しいですね。
また、海洋生物を守るという視点でもこの作品からはメッセージを感じ取ることができます。
命の大切さを知り、今の世界が元々いた生物にとって理不尽な環境かを考えることができる。
とてもいい題材だといえるのではないでしょうか。
もし未知の生物や絶滅したと思われる生物が出てきた時、私たちはどう対応するのでしょう。
捕まえて解剖するのでしょうか。それとも…。
地球に“生かされている”という事を、私たち人間はもう少し自覚すべきなのかもしれません。