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2008年に公開された「パコと魔法の絵本」の原作は「MIDSUMMER CAROL ガマ王子vsザリガニ魔人」なのは有名です。
後藤ひろひとの舞台をもとにして「嫌われ松子の一生」を手掛けた中島哲也監督が映画化しました。
この作品で注目されたのは大貫役の役所広司をはじめ豪華なキャスト達の奇抜な衣装やメイクです。
絵本の作家であった堀米がクソじじいと呼んでいた大貫がみんなの頭の中に残ったことをなぜ悔しがったのか。
劇が終わった後でパコが大事にしていた絵本を破いてしまった理由とパコがなぜ死んでしまったのかを考えていきます。
パコの記憶が7歳の誕生日で止まっていた
大貫がいつもイライラしていた理由は自分の居場所がなかったからなのでしょう。
一人で頑張ってきた
誰かに頼ることも知らず人も信用することもできず会社にいることで自分の存在を確かめていたのです。
病院に閉じ込められ自分の居場所である会社に行くこともできずに苦しんでいたのではないでしょうか。
そんなときに親を亡くしても記憶障害があっても毎日明るく笑うパコに出会ったことで優しい気持ちになるのです。
大貫が大事にしていた金色のライター。
それは初めて儲けが出た時に買った物で人生で一番輝いている時の思い出の品でした。
パコはそれを綺麗といってくれたのです。
朝になると毎日誕生日
記憶が一日で無くなってしまうけれど朝、目覚めたら誕生日なので毎日が幸せに過ごせます。
亡くなった母親からのプレゼントを大事に持っているパコをかわいそうに思ったのでしょう。
パコは記憶がその日一日しかなくて親の死も知らないから泣けません。
どれだけ辛くても泣いたことがない大貫が泣き出します。
自分にも弱い心があったことに気づいた瞬間でした。
パコの代わりに泣いたのかもしれません。
はじめて人の心に残りたいと思った
記憶障害という病気を知らずに殴ってしまったことがパコの脳に衝撃を与えて記憶させていたのかもしれません。
殴ってしまったことが気になり頬に触れる大貫でしたがその時に肌から脳にぬくもりが伝わったのでしょう。
次の日にパコの頬を触った時に痛みとしてではなくぬくもりとして記憶に残っていることを知ることに。
今までは人の記憶に残るのを嫌っていたから人と接する方法がわかりません。
どうすればパコの心に残ることができるのかを考えるのでした。
覚えていないから謝ることもできない。謝る代わりに何かしてあげたいと思ったのでしょう。
忘れられることは寂しいことだと気づいた
大貫は病院に来た時に周りの人が自分のことを知っているということだけで腹を立てていました。
しかし、パコに知らないといわれてはじめて寂しい気持ちに気づくことになります。
それでも頬に触れると思い出してくれる。それだけでうれしい気持ちになるのだとわかりました。
仕事の事ばかり考えて必死に生きる必要もなくなったことでようやく人の気持ちを考えることができたのでしょう。