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『ブラックパンサー』は2018年に公開された大ヒット映画です。
スパイダーマンやアイアンマンなど個性的なスーパーヒーローを描くマーベル作品の1つでもあります。
白人中心のハリウッドにおいて、キャストを始めスタッフの大半が黒人だけで編成された点でも大いに話題になりました。
今作のメインヴィラン・最強の悪役であるキルモンガーは、ブラックパンサーのライバルとして大きな存在感を示しています。
彼はなぜブラックパンサーと対立しているのでしょうか。またそもそも本当に悪者なのかどうかも気になります。
こういった点に加え、2人が示した善悪についても時代考証を交えて徹底解説してゆきましょう。
キルモンガーとは何者なのか?
まずは映画のキーパーソンであるキルモンガ-の人物像に迫ります。
過去の境遇から悪役となったキルモンガー
「キルモンガー」ことエリック・スティーヴンス。彼は主人公である「ブラックパンサー」ことティ・チャラに対決を挑むヴィランです。
ヴィラン・敵役にはバットマン・シリーズ全般(特に「ダークナイト」)のジョーカーのように絶対悪と呼べる極悪なタイプがいます。
一方で「X-MEN」のマグニートーのような境遇や洗脳など、やむを得ない理由からヒーローサイドと敵対しているタイプもいます。
キルモンガーは後者のタイプであり、悲惨な境遇が引き金となって悪に染まりました。そのため身も心も悪に浸かっているわけではありません。
過去の理不尽な仕打ちさえなければキルモンガーは心優しい王族の1人になっていたのかもしれないのです。
キルモンガーという名前の意味は?
キルモンガーは「死の商人」という意味であり、傭兵として多くの人々を殺害してきた彼につけられた異名です。
一般的に「死の商人」とは主に戦時下の国に対して戦争兵器を売り込む武器商人のことを指します。
この呼び名には、死という商品を売り歩くという意味が込められています。
キルモンガーはヴィブラニウムを元にしたワカンダ国の最新鋭武器を世界中の虐げられた黒人の過激派集団に送ろうとしました。
この点で現実の「死の商人」とも一致します。味方でも容赦なく自分の盾にする点。
また自身が殺した膨大な人の数だけ自身の体に傷をつけている点などに「死の商人」らしい彼の残忍さが見て取れます。
キルモンガーの悲惨な境遇
キルモンガーは過去の理不尽な仕打ちによってヴィランになりました。この点を掘り下げましょう。
父の代から相反する立場になったティ・チャラとキルモンガー
ティ・チャラとキルモンガーは血縁関係であり、同じワカンダ王家の血を持つ従兄弟同士です。
キルモンガーの父親ウンジョブはティ・チャラの父親ティ・チャカの弟であり、世界中で虐げられたアフリカ系民族に心を痛めていました。
一方で当時のワカンダ国王ティ・チャカは歴代の王の教えに従い、自国の平和のために争いの火種になりかねない他国への干渉を避けていました。
ティ・チャカとウンジョブはこの点で決定的に対立しており、この内向きと外向きの違いはそのまま互いの息子にも受け継がれます。
ワカンダへの愛国心で一致する2人
ティ・チャカとウンジョブの対立は最悪の形で終わります。ウンジョブの息子・キルモンガーからすればそれは屈辱的なものでした。
父の殺害と自身の迫害はキルモンガーのこころに大きな悪の種を植えたといえるでしょう。
一方でティ・チャカの息子であるティ・チャラにもこの出来事は影を投げます。
父による殺害の隠ぺいを知ったことで、ティ・チャカはワカンダ国の祖先・引いてはその歴史自体にも疑いを持つようになりました。