サムは自分が死んだということにはじめて気がついた時に天からの柔らかい光を浴びますが、なぜ天に召されなかったのでしょうか。
これは神の采配以外のなにものでもないでしょう。
神はいつも我々を見守っているという、西洋の神に対する想いがわかりやすく現れています。
殺された夜、サムがそのまま天に召されなかったのは、彼にはこの世に残りやらなければならないことがあったからだと推察できます。
まだ彼自身はそのことに気がついていませんでしたが、神は彼に使命を与えたのでしょう。
それは、悪と闘い、愛するモリーを守ることです。つまり、モリーの命を守ることと解釈できます。
イカサマ霊媒師 オダ・メイという存在
なぜ本作品に霊媒師が必要なのか?
霊媒師というよりもインチキな降霊師であるオダ・メイは、どんな映画でも独特の存在感を発揮するウーピー・ゴールドバーグが演じます。
そして、彼女の存在がなければ本作品は成立しないといえるほど、重要な役割です。
オダ・メイは、サムの属する「あの世」とモリーの属する「この世」との唯一の架け橋であるといえます。
オダ・メイだけが、サムとモリーを繋ぐことができ、彼女の存在がなければ、サムとモリーは全く接点を持つことができないのですから。
なぜインチキ霊媒師であったオダ・メイは本物の霊媒師となれたのか?
インチキをしていたとしても、もともと霊能一家に生まれたオダ・メイ。
素質があったとしても、なんら不思議ではありません。
普通の霊ではなく神から使命を託された圧倒的な善であるサムと出会うことで、もともと持っていた霊能力が一気に開花したと考えられます。
だからこそオダ・メイは、「あの世」と「この世」の唯一の架け橋となったのかもしれません。
そして、サムの使命をサポートし、悪と戦う戦士となったのではないでしょうか。
なぜモリーにはサムの姿が見えたのか?
善の勝利によってもたらされた
それは勧善懲悪という言葉に表されているように、善は最終的に勝利を得ますが、本作品の勝利は喜ばしいものではありません。
信頼していた友人であったカールの死によって悪は消滅します。
しかし、死んで魂が身体から抜けてしまったカールを見るサムの表情は非常に悲しそうです。
サムにはカールが天国に召されるのではなく、死神に連れて行かれることがわかっていたからでしょう。
ただ、サムの目的はモリーの命を守ること。
彼は神により与えられた、自分の使命を果たした結果だったのです。
永遠の別れ
天の采配により、霊としてこの世に残されたサムの使命は終わり、それはモリーとの永遠の別れを意味します。
彼はもう「この世」にとどまる理由がないからです。
それが彼の宿命であることは、サムもモリーも分かっていたことでしょう。
「この世」に住んでいる人には本来「あの世」の人の姿は見えません。
優れた霊媒師であるオダ・メイも、サムの声は聞こえても彼の姿まで見えませんでした。
その理由は、もしかしたら魂の本来のあるべき姿を描いていたからなのかもしれません。
しかしサムが最後に天に召される時、モリーにもオダ・メイにもサムの姿が見えた理由にこそ、本作品のテーマが込められているのです。
なぜサムの姿を目にすることができたのか?
本来見ることができないものを彼らは目にすることができました。
これも神の采配でしょうか?