大阪の男が夫婦を殺害した後、山神は電話で殺害現場に呼び出されたのかもしれません。
誰かに陥れられたことに気付いた山神は、洗面台で髪を切って逃亡の準備をしたと考えられます。
DNAの偽装
狡猾な真犯人ならば、山神のDNAを犯行現場に仕込むことも可能だったでしょう。DNAはタバコの吸殻やコップ、髪の毛からも検出できます。
警察が何からDNAを採取したかは分かりませんが、計画された犯行ならば大阪の男が山神の毛などを事前に入手していた可能性も捨て切れません。
全ては大阪の男の筋書き通り。山神も田代や直人と同じく、事件には無関係だったと思われます。
目撃者達がカーテンを閉めた真意
泉が強姦されている現場を目撃した親子がカーテンを閉めるシーンは印象的でした。沖縄の社会問題に目をつぶることを表しているように見えます。
カーテンは外の世界を遮断する役割を担っているのかもしれません。
関わりたくない。見てみないフリをする。
そういった本音を描いていると同時に、目の前にある問題を無視することへの「怒り」を私達にぶつけてきているのではないでしょうか。
カーテンを閉めた親子を他人事として捉えている人への怒りが、この短いシーンの中に凝縮されているのです。
山神は自ら死を選んだ?
八王子事件の犯人が田中であり、その山神が殺されたことで決着がついたように描かれていました。
しかしその死には不可解なシーンがいくつかあります。山神が死の寸前にした行動の理由を解説していきたいと思います。
辰哉を嘲笑した理由
自分を信頼してくれた辰哉と、かつての自分を重ね合わせて嘲笑した可能性があります。
山神は大阪の男と職場で仲良くしていて、少なからず信用していたのではないでしょうか。そんな自分の浅はかさも含めて笑ったのです。
それと同時に辰哉の怒りの矛先を自分に向けさせたかったとも考えられます。
辰哉は泉を助けられなかった悔しさと怒りを抱えていましたが、解消する手立てがありません。
だから山神は命を差し出して、辰哉の原動力を尽きさせないようにしたのではないでしょうか。
泉の事件を笑ったのも、徹底的に自分を悪者にするため。そうでもしないと辰哉は山神を殺さなかったでしょう。
泉も生きる力を失いそうになっていたところですが、山神の裏切りをバネにしたはずです。
怒りは人を破滅させる一方、生きるエネルギーにもなるといえるでしょう。
辰哉を殺さなかった理由
殺そうと思えば、すぐに辰哉を殺すことができたはずの山神。夫婦を殺害している犯人ならば、もう一人殺すのも厭わないはずです。
しかし辰哉を襲っても一向に殺す気配が見えません。殺すどころか怪我さえも負わせません。
ここに山神の優しさが表れてるのではないでしょうか。