その理由に迫っていきます。
母の愛情を感じた
母親の祈りの内容は自分の病気の事ではなく、洸の事ばかりでした。
洸が笑顔でいられますように、など母親は自分がいなくなってからも洸がずっと幸せに生きてくれる事を祈っていたのです。
そこに洸は限りない母の愛情を感じ、泣き崩れました。
洸を1人にしてしまう事だけが母親の唯一の気がかりだったのです。
そんな母の心の内を知ったからこそ、洸は優しかった母の想いを知り、泣き崩れたのです。
無力感から解放された
洸は母親の死に対して自分は何も出来なかった、何もしてやれなかったと感じていました。
自分を無力だと感じていたのです。
しかし、生前の母の想いを知る事でその無力感から解放されました。
母親の洸に対する想いが、洸を長い長い呪縛から解き放ってくれたのです。
洸は肩の荷物を下ろしてやっと楽になれたといえます。
安堵の涙
洸は母親の自分への想いを知って、心から安堵しました。
その安堵が涙へと変わったのです。
洸は母親に対して“ごめんなさい”と同時に“ありがとう”と心の底から思いました。
母親の洸を想う気持ちが洸を新しい光の元へと連れていってくれたのです。
それは、残される洸へ母親ができる最後の優しさであり、思いやりでした。
母の想いを知る事で、洸は自分も笑っていいのだと思えるようになったのです。
母親が息子に託した願い
洸の母親は自分の死期が近い事をわかっていました。
母親が息子に託した願いとは何だったのでしょう?
そこを紐解いていきます。
幸せでいてほしい
洸の母親は何よりも洸の幸せを1番に考え、自分がこの世を去った後でも洸が心から笑える事を願っていました。
これは母親が自分の病気が治る事を願っていた、と考えていた洸にとって1番の衝撃でもあったのです。
まともな母親であれば、子供の幸せを願う事は優先的な判断といえます。
洸の母親は自分の宝物のような存在である洸の幸せを1番に考えていました。
この出来事は洸の抱える闇を解き放ってくれたとても大きな出来事となったのです。
どんな事があっても洸には幸せであってほしい、それが母親が洸に託した1番の願いとなりました。
自分の分も生きてほしい
洸は母親が亡くなった後、自分は生きていてもいいのか、そんな自問自答も繰り返していたでしょう。
母親は自分がいなくなっても洸に逞しく生きてほしい、そう願っていました。