そして自分が生きられなかった分も洸には生きてほしい、そういう願いも持っていたのです。
まだ学生である洸を残して死んでしまう事は、母親にとって1番の心残りであり心配であったといえます。
そして、洸の成長を見届けられない事も母親には悔いの残る事だったでしょう。
洸は母親の光であり、1番の元気の源だったのです。
自分がいなくなっても、笑顔をなくさず、人生の困難に負けず生きていってほしい、そんな願いを持っていたといえます。
アオハライドの意味
タイトルの“アオハライド”とは、この作品の原作者である漫画家・咲坂伊緒の作った造語です。
青春(アオハル)と乗る(ライド)をかけあわせて1度しか乗れない青春の波に乗っていけ!という意味が込められています。
タイトル通り、この映画は青春時代の儚さや切なさ、その頃しか経験できないような心の揺れ動きなどが繊細に描かれている作品です。
青春時代の甘酸っぱさを非常に丁寧に描いている作品といえます。
青春は間違える事も多いけれども、悩んだり迷ったり間違えたりするからこそ青春なんだ、そんな事を訴えかけてくる作品です。
登場人物の細かな心の動きや、青春時代には欠かせない、それぞれが織りなす恋愛模様にも注目して観たい映画といえるでしょう。
洸の再生の物語
この物語は洸が自分の元の心を取り戻していく物語であり、再生の物語といえます。
そこに恋愛や友情が絡んできて、作品にいいエッセンスを加えているのです。
ただの青春恋愛作品のように思えて、それだけにとどまらない人の心の機微がひしひしと伝わってくる作品となっています。
洸が背負っているものは非常に重く、高校生の彼には背負いきれないくらいの十字架と呼んでもいいでしょう。
しかし、そんな洸が仲間や、ラストで恋人同士となる双葉の存在によって変わっていくのです。
洸は失った4年という月日を仲間や双葉のおかげで取り戻しました。
彼の朝焼けを見る笑顔にその全ての意味が詰まっています。
双葉は間違いなく洸のヒーローであり、これは洸が笑顔と人間性を取り戻していく素晴らしい再生物語です。
まとめ
映画も漫画も大ヒットした人気作品「アオハライド」。
原作の漫画を読んでから映画を観てみる、逆に映画を観てから原作漫画を読んでみてもいいでしょう。
映画と漫画という、違う分野のエンターテインメントですが、それぞれの違う味わいがあり新しい発見があります。
洸がどんな風に自分を取り戻していくのか、双葉や他の仲間はそれにどう関わってくるのか、そこに注目して映画を観返してみるのもいいでしょう。
生きていく上で、誰もが通過する青春時代。