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「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」はMCU、マーベル・シネマティック・ユニバースの「フェイズ3」の最後を飾る作品です。
メガヒットの上をいく「ギガ」ヒットシリーズと形容するにふさわしいこの作品は2019年に公開。興行収入は11億ドルを超えたとされています。
ここではそれに秘められた数々の謎について考察します。
メインヴィラン、ミステリオの目的とは何か
今回のメインヴィラン、ミステリオ(クエンティン・ベック)。
彼は自分を他次元の世界…マルチ・バースから来たヒーローだといつわり、やがてピーターたちを絶体絶命の窮地に追い込みます。
その彼の目的とは一体何だったのでしょうか。
ミステリオの正体が抱くトニーへの怨嗟
ミステリオの正体はかつてスターク・インダストリー社に席を置いたエンジニア、クエンティン・ベック。
「シビル・ウォー」でトニー・スタークは、彼の創ったホログラムシステムをセラピーのための技術として紹介しました。
トニーはこのシステムを自身のトラウマすら癒す研究だとして大いに評価している様子でした。しかし、ベックにはそれが気に入りません。
彼はかつて開発したこのホログラムシステムを「世界を変える」ものだという自負があったのです。
さらに、トニーがこのシステムについて「反吐が出る(BARF)」システムだと紹介しています。
それは青春を述懐し、やり直したいと夢想するオヤジ…つまり自分への照れや悪態をこめてのものでしょう。
しかし、この命名がベックの導火線に火をつけたのは劇中でも語られている通りです。
その後、ベックはインダストリー社を解雇され、その復讐を今回の事件に込めていました。
心をいやすはずのセラピー・システムが復讐の原動力になったとは、なんとも皮肉な結果です。
ベックを加速させたファミリーの昏い一致団結
ミステリオの元に集う同志たち…ミステリオ・ファミリーはベックと同じくスターク・インダストリー社に恨みを持つ者たちの集団でした。
特に、オリジン「アイアンマン」で登場し悪役オバディア・ステインの部下としてスーツの開発に従事していたウィリアム・ギンター・リーヴァ。
彼は本作でベックの片腕的存在としてドローンを操り、ベックのホログラム技術との融合に成功。「偽ヒーロー」計画を実現しました。
「打倒トニー・スターク」という昏い理念の元に賛同した仲間の存在が、ベックの最終目標、世界の王となる野望を加速させたのでしょう。
結局、ベックは科学技術を人を癒すことでなく、自分の野心を満たすために利用したかったに過ぎません。
トニー・スタークがその類の狂気に敏感だったとはとても思えませんが、ポッツあたりがそれに感づいたとするのは乱暴でしょうか。
スパイダーマンの正体を投稿したのは誰?
エンドロール後のポストクレジットシーンは「MCU」シリーズ定番の「お楽しみ」ですが、本作では一味違う謎が込められています。
まずポストクレジットシーンでスパイダーマンこそがロンドンでの事件の黒幕とし、その正体を暴いたのは一体誰だったのでしょうか。
元インダストリー社のウィリアム・ギンター・リーヴァ?
最初に思い当たるのが、ベックの片腕としてドローン操作を担当した元スターク・インダストリー社の科学者ウィリアムです。
彼はミステリオの作戦が失敗したことを見届けると、ドローンのデータをUSBに納め、いずこかへと立ち去っています。
ニュース映像を編集するには元の映像データが必須ですから、このUSBデータが何らかの形で関わっていると考えるのは妥当なところ。
しかし、ウィリアムには確たる動機がありません。
トニーの後継者であるピーター・パーカーへの復讐…と考えても彼にとっては見返りが小さすぎます。
ウィリアムが関与したのはほぼ確定でしょうが、ここは彼を操る黒幕がいたと考えるのが自然でしょう。
オバディア・ステインやベックなど、特に哲学なく悪のカリスマにつき従ってきた彼の姿からもそれは容易に想像できます。
デイリー・ビューグルのJ・ジョナ・ジェイムソン?
ウィリアムを裏で操っていたと考えられるのは、まずJ・ジョナ・ジェイムソン率いるデイリー・ビューグル。
原作ではしばしばスパイダーマンを糾弾する悪役の新聞社として描かれていますが、本作ではウェブサイト。
今回は「お騒がせ」とあえてチープな言葉で表現されています。
しかし、J・ジョナ・ジェイムソンがスパイダーマンを陥れようとする動機はなんなのでしょう。
これに関しては単純に彼の「狂気」とすれば説明がつきます。