映画「インフェルノ」のウイルスは「殺人ウイルス」となっており、地球に撒かれる前にウイルスを封じ込むことに成功するので原作とは真逆のラストシーンとなります。

ラストシーンでのシエナの行動

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原作も映画もシエナがゾブリストの恋人であったという関係は変わりませんが、原作と違い映画ではシエナの行動に大きな設定変更が施されています。

映画「インフェルノ」では後半に差しかかるまでラングドン教授と助け合い行動を共にしていたシエナ。

ですが、実はゾブリストを崇拝しており彼の計画を引き継いで人口を減少させるためのウイルスを拡散させる目的を持っていました。

そして映画では最後にシエナは爆死してしまいます。

小説のシエナはウイルスを世界にばら撒くのではなく取り戻そうとしています。

シエナはゾブリストが考える人口をウイルスによって減少させていく計画を実行しようとしますが、同時にそのウイルスがWHOに渡ることを懸念していました。

WHOにウイルスが渡ってしまえば政府が兵器開発のために利用するのではないかということを恐れ、単独でウイルスを回収しようとするのが小説でのシエナの行動です。

「インフェルノ」の地獄は何を指しているのか

「神曲」の地獄篇からインスピレーションを受けたダン・ブラウンですが、「インフェルノ」で描かれた本当の地獄とは何だったのでしょうか。

ゾブリストが予測していた「インフェルノ(地獄)」

IBotticelli. Pittore della Divina Commedia

映画ではラストで殺人ウイルスの拡散を阻止し、ラングドン教授の悪夢で描かれていた地獄絵図のような世界になることは回避することができます。

しかし「インフェルノ」が表現する本当の地獄は、ゾブリストが予測していた人口が増え続けることによって待ち受ける世界のことだったのではないでしょうか。

ゾブリストは人口増加によって天然資源が急激に減少し、その結末として地球が崩壊し人類滅亡を引き起こすと予測していました。

ゾブリストはヨーロッパで歴史的に流行していたペスト(黒死病)のおかげで人口調整がされていたと考えている人物です。

医療が進んだ現代ではペストのような伝染病は減少したため、人間の寿命とともに人口も伸び続けることをゾブリストは阻止しようとします。

ゾブリストの思想は人口爆発が引き起こす現実を「地球崩壊・人類滅亡 = 地獄」としたのでしょう。

そしてその世界に向かうことを避けるためにウイルスで人的に人口調整を行う計画を立てたのです。

まとめ

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ダン・ブラウンの小説を映画化し2016年に公開された「インフェルノ」について解説しました。

「インフェルノ」は登場する美しい街並みだけでなく、中世の建築・美術・文学がミステリーな雰囲気と緊迫した時間を楽しませてくれる作品です。

原作とは違うラストシーンやシエナの行動は、映画「インフェルノ」としてのエンタテイメント性をさらにアップしているといえます。

物語の鍵を握るダンテの「神曲」は文学作品として非常に奥深く複雑な構成となっていますが、少しでも「神曲」のことについて理解しておくと「インフェルノ」をまた違う面から鑑賞することができるでしょう。

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