日本刀と猟銃を武器に村人を次々に殺す姿はまるで何者かに取り憑かれたかの如く恐ろしいものでした。
要蔵の狂気に落ち武者の祟りをみた村人たちの恐怖は計り知れないものがあります。
なぜ金田一は亀井陽一の出自を語らなかったのか
尼子義孝の祟り
自分が尼子義孝の子孫だということを最後まで美也子が知らなかったのは不思議に思えます。
まるで尼子義孝に取り憑かれたように次々と殺人を犯していく美也子。
その姿は本当に取り憑かれていたのかも知れないと思えるほど、鬼気迫るものがありました。
本人も知らない事実にあやつられた運命。
それを考えると恐ろしくなってきます。
亀井陽一の出自とは
亀井陽一の出身は美也子と同じ島根県の広瀬町付近・・・。
そこに行きあたった金田一は恐怖を感じてそれ以上調べるのをやめてしまいます。
辰弥までもが尼子義孝の血縁なのか?
そうだとしたらこの事件は本当に恐ろしい呪いにあやつられていることになります。
金田一に教えられた父の消息
父、亀井陽一はアメリカの遠い空の下で生きている。
どんな人なのだろうか、元気で暮らしているのだろうか。
長い間一人で孤独に生きて来た辰弥ですから一目、実の父に会ってみたいと思ったことでしょう。
けれども、あの悲しくも辛い八つ墓村の記憶をお互いに思い出さないために会わない方がいい。
金田一の言葉を、実の父の言葉だと信じてまだ見ぬ父を想う辰弥の気持ち・・・。
辰弥にとって八つ墓村はなつかしい故郷ではなく、暗く重苦しい存在だったでしょう。
ラストシーンで辰弥が飛行機を見送る思い
飛び立つ飛行機に象徴される辰弥の思い
本作は、原作とは異なる1977年(昭和52年)という時代設定になっています。
空港職員として働く辰弥の姿。
戦国の昔、落ち武者の祟り。そして八つ墓村での出来事がよりいっそう恐ろしく暗い事件のように感じられます。
未だ見ぬ父の暮らすアメリカへと飛び立つ飛行機を日々見送る辰弥の思いはどのようなものだったでしょう。
それはラストシーンの辰弥の行動が物語っています。
辰弥にとって八つ墓村での出来事は悪夢のようだったに違いありません。
祟りの元凶という扱いをうけ、多くの人が殺され、自分の腕の中で死んでいった人もいる。
すべてが終わったあと辰弥がいつものように飛行機を誘導し、そして飛び立つ飛行機をヘルメットを取って仰ぎ見る。
その目ははるか遠い外国にいる父を思うように見えました。
DC10-40とボーイング747
物語のオープニング、そしてエンディングの空港でのシーンに注目してみましょう。
日本航空の協力のもとで撮影された本作品では、映像で1977年当時のジェット機の離発着を見ることが出来ます
オープニングでは3発エンジンの機体DC10-40の着陸姿を、そしてエンディングシーンではボーイング747の飛び立つ姿を。
いずれも今では見られない機体なので注視してみてみるのもおすすめです。
重く、暗い八つ墓村での事件を振り切るように最後に飛び立つ飛行機の姿に辰弥の未来がみえるようです。