最後まで室井のライバルとして立ちはだかった彼はどのような人物だったのでしょうか?
大人になり切れない大人
灰島秀樹という弁護士は単刀直入にいえば大人になり切れない大人の象徴です。
彼は物凄く豪華な事務所を持ち、裁判に勝つためなら手段を選ばない「訴訟パラノイア」の面を持ちます。
一見優秀なエリートなのですが、その実態は外にいるときはゲームをしているというふざけた奴です。
言動もやたらに理屈っぽいことを述べる割に大した中身はなく、態度も酷く子供じみています。
これもまた当時問題となっていた「知識はあるが内面が凄く子供っぽい大人」のカリカチュアなのです。
それが本当に渋い大人として表現されている室井と綺麗な対比となっています。
逆コナン
そんな彼の姿は端的にいって見た目は大人で頭脳は子供の逆コナンではないでしょうか。
やたらと室井達の事件捜査を妨害したり、裁判に負けたら地団駄を踏んだりと根っこの精神が未熟です。
弁護士として確固たる信念・矜持といったものが大きくあるわけでもなく、その場の空気や体制に流されています。
やり手に見えても灰島は周りのお膳立てがなければ何も出来ないという側面が以後の作品も含めて目立つのです。
これは正に中身は優秀な高校生探偵でありながら子供の体である為に不便さを強いられるコナン君とは逆ではないでしょうか。
灰島が室井を執拗に追い詰めた理由
逆コナンの灰島は兎に角やたらに室井を追い詰めて自爆へ追い込もうとします。
何故そこまでのことをするのか?考察していきましょう。
他人の不幸は蜜の味
灰島は弁護士としてやるべきではない事件捜査の妨害を室井に対して行っています。
自分に有利なように進めたいからとはいえ、一歩間違えれば灰島は公務執行妨害で逮捕されてもおかしくありません。
そんな彼の中心にあったのは「他人の不幸は蜜の味」ではないでしょうか。これは誰しもが奥底に持っている欲求です。
他人が成功するのは認められないのに落ちていく姿は見たいという低俗な欲求が灰島にはあったのでしょう。
特に室井のような寡黙で多くを語らない大人の男など、灰島からすれば何としてでも追い落としたいに違いありません。
灰島は拝金主義なのか?
灰島は最後の最後、室井の身の潔白が証明されたときに次のようにいいます。
真実じゃ金にならない
引用:容疑者 室井慎次/配給会社:東宝
まるで灰島が拝金主義であるかのように匂わせる台詞ですが、本当に彼は拝金主義なのでしょうか?
もしそうならもっと金にがめつい面を見せたり、プロとして徹底した財政管理の側面を見せたりするでしょう。
しかし、劇中では殆どそのような側面は目立たず、専ら室井を追い詰めることにしか興味がありません。