それはキャンプ先に大勢の動物たちが押し掛けてきたシーン。動物たちの治療を終えた後のジョンは意気揚々としていました。
さらに合併賛成派のDr.マークとの会話では、スラムで開業したころの充実感や満足感を語ります。
病院を合併すれば、効率的で無駄のない作業が待っています。ジョンにとってそれは、仕事のやりがいがなくなるものと気付いたのです。
優しいジョンの人柄
先述したようにジョンという医者は、非常に優しく困っている生き物は放っておくことができません。
その人柄が、合併の話を断る理由にもなっているようです。
家族が望む幸せ
映画冒頭で合併の打ち合わせとキャンプに行く日が重なってしまいました。その際、Dr.マークに日にちをずらせないか提案します。
結局日にちはずらせないため、家族にはお金をたくさん稼いで、家族を幸せにしなければならないと説明しました。
つまりジョンが常に考えていたのは、家族の幸せです。お金を稼ぐことがジョンにとって家族を幸せにする手段でした。
しかし妻のリサは家族との時間を大切にする夫を、次女のマヤは自分らしくやりたいことをやる父親を望んでいます。
マヤとジョンの父親アーチャーの会話で、ジョンはそれに気付かされ、大病院では家族の幸せを実現できないと判断しました。
従業員の人員削減
合併の話をカフェで打ち合わせするとき、契約内容を確認すると従業員の削減が条件として付けられていました。
開業医の院長を務めている限り、従業員の生活を守らなければなりません。
それ以後のジョンは動物の治療に走り回っており、従業員の削減について「イエス」と言ったシーンはありませんでした。
つまり合併をしたところで辞めさせられる従業員もいるわけで、望まない未来にたどり着く人も出てくるのです。
ジョンはそんな人への配慮も考えたと思われます。
Dr.マークの底が見えた
精神病院に入院中も、Dr.マークはジョンの説得を試みます。その際開き直ったかのように、お金の話をするDr.マーク。
この時のジョンの表情はうつむき加減で終始苦笑いです。
結局これまで一緒に頑張ったDr.マークにこれまでの情けをかけたのか、回復したかのように見せかけます。
このシーンでジョンはすでに友人を見限っており、信頼も何もありません。
家族の望みや従業員のこと、さらには自分のことを合併と天秤にかけたとき、重くなったのは前者でした。
合併の契約内容
契約内容は従業員やお金だけではありません。
作品中では語られない契約内容を想像すると、ジョンの望まない合併であることが見えてきます。
診察は当然「人間のみ」
動物と会話という能力を活かして治療するという、仕事の楽しみを見出したジョンです。
そんなジョンがもしも合併に合意してしまうと、当然診察するのは人間のみになります。
ジョンがそれを望んでいるかというと、トラの治療を終えた直後のジョンが望んでいるとは全く思えません。