出典元;https://www.amazon.co.jp/dp/B07DMBN13D/?tag=cinema-notes-22
北海道札幌ススキノを舞台にした探偵シリーズ3作目は、暴力団の覚せい剤取引を背景にした悲しい女の物語でした。
不幸な過去を背負って人生に失望したヒロイン岬マリが、人生最後の賭けに出ます。
マリがなぜ、殺人を犯してまで危険な勝負に出たのか。
そこに至るまでのマリの心情を中心に考察してみました。
この映画の演技が好評を博し、第41回日本アカデミー賞では主演の大泉洋さんが主演男優賞を受賞。
相棒役の松田龍平さん、マリを演じた北川景子さんがそれぞれ助演男優賞、助演女優賞を受賞しています。
「探偵はBARにいる」3部作は全国の映画ファンに愛され、興行収入はシリーズで30億円を超えるヒット作となりました。
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/探偵はBARにいる3
マリが殺人を繰り返した理由とは
マリは北城の腹心を次々と殺害しますが、その真意は何だったのでしょう。
殺人の理由は覚せい剤を売りさばいて現金にすること
北城が毛ガニに仕込んで覚せい剤の輸送することを知ったマリは、覚せい剤を強奪するために最初の殺人を犯しました。
マリは、輸送を担当した椿のお気に入りの麗子と、覚せい剤の換金ができる工藤と組んで計画を実行しようとします。
麗子はしたたかな女ですが、椿が銃殺されるの目の当たりにしてマリについていくしかないと考えたのでしょう。
工藤はどう考えたのでしょうか。
マリと組むと見せかけて、あわよくばマリを亡き者にして一獲千金を狙っていたのかもしれません。
マリは北城の娼婦。寝物語にグループの内情を聞いていて、工藤は北城の折り合いが良くないことを知っていました。
自分の計画を北城に漏らすことはないと踏んだのでしょう。
最後は現金を工藤に持っていかれないように、殺人犯の自殺と見せかけて工藤をも殺害したのです。
身を危険にをさらしてまでお金が欲しかったマリはトラウマにとらわれていた
なぜ、殺人を犯してまで現金を欲しがったのか、マリの過去や現在の心境から考察してみました。
マリは、一家心中で家族を失っています。
十代後半の思春期の盛りに心中事件に巻き込まれたとすると、多感な時期に最悪の経験をしたことになります。
きっと、親せきや知人の大人から、親の悪口や心中に至るまでの借金関係の話を嫌というほど聞かされたでしょう。
悪い筋の金貸しとモンローが言っていましたから、取り立てや嫌がらせもあったと思われます。
殺人を繰り返すマリは、現金に対する嫌悪感と過去のトラウマに支配されていたのではないでしょうか。
里美と出会ったマリの心境
入院中に出会った4歳の少女里美は、重い病に苦しんでいましたが家族や周囲の大人たちからから愛されていました。
両親が健在だったころの過去を思い出しながら里美を見ていたのでしょう。
羨望(せんぼう)のまなざしのマリが想像できます。
里美の誕生日が、生まれていれば里美と同年代の自分の子と同じだと知った時、羨望(せんぼう)は愛情に変わったのです。
両親を亡くし、大人になって妊娠して新しい家族に会えるはずだったのに、我が子も亡くしてしまったマリ。
里美に我が子を重ねてしまうのも無理はありません。
その時から、里美はマリの中では自分の家族同然だったのです。
「里美を助けたい」孤独で生きる気力すら無くしていたマリの心に愛情のあかりがともりました。