出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B00R2I7SDU/?tag=cinema-notes-22
記憶除去手術とを背景に、男女の愛をファンタジックに描いた「エターナル・サンシャイン」は、二度見必至の恋愛映画。
手術の最中に思い出した、恋人との楽しかった記憶を消されまいと、必死に抵抗する主人公ジョエルの姿が印象的でした。
ジョエルの乗る車につけられた傷や日記などのエピソードは、ストーリーにどんな影響を与えたのでしょう。
記憶除去に関係する登場人物の心の動きに注目しながら、手術の持つ真の意味を考察してみました。
この映画は、2004年に公開され7000万ドルを超える興行収入を記録して大ヒット。
脚本を担当したチャーリー・カウフマンは、アカデミー賞の脚本賞を受賞しました。
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/エターナルサンシャイン
車の傷と日記が物語に与えた影響 消える記憶と消えずに残っている物もある
車の傷やジョエルの書いた日記は物理的に形として残っています。記憶が消えても決して消えることのないものです。
同じように、本人の性格や行動のくせなども消えることがないのです。
車の傷や日記に象徴されているのは、記憶をなくしても消えずに残っているものがあるということではないでしょうか。
クレメンタインが付けた車の傷は消えない
車の傷は恋人同士の2人が別れてしまう直前に、クレメンタインが酒に酔って運転してつけたものでした。
記憶除去後のジョエルは当然車の傷がクレメンタインの仕業とは気が付きません。
記憶は消えても物理的な現象は消えないのです。車の傷に限らず、写真や服装、髪の色などもそうです。
性格も変わらないので、お互いの内面を愛していれば再会できたときに愛は再燃するのです。
ジョエルが書いていたイラスト入りの日記も消えない物のひとつです。
日記に記された2人の思い出には楽しい記憶もあったはず
ジョエルは、日記の中でクレメンタインに関するページを切り取って、記憶図を作るために提供します。
もしも、ページを残したままで日記を持っていれば、記憶除去されたとしても2人が再会する何らかの手掛かりになったはずです。
特に日記は、人の思いが染みついているものです。
手術前に冷静に日記を読み返していれば、ジョエルは楽しかった記憶を思い出して手術を受けなかったかもしれません。
他人に模倣されても恋愛は思い通りにならない
助手のパトリックはクレメンタインにひとめぼれしました。
クレメンタインを自分のものにするため、恋人だったジョエルの日記を盗み内容を参考にして誘惑しようと試みます。
ところが、クレメンタインの反応はいまひとつ。
本人の感情が伴ってなければ、形だけ模倣しても心は通じ合わないのです。
恋愛マニュアルさえ読めば恋人同士になれるほど、男女の関係は単純ではありません。
何度記憶を無くしてもふたりは出会えた
ジョエルとクレメンタインは互いに記憶除去しても再び出会いました。
心が通じ会えるのに記憶の有無は影響しなかったのでしょうか。
ジョエルの性格や考え方は記憶をなくしても変わらない
記憶を除去したことも覚えていないので、除去手術中に記憶をなくすことへ抵抗したことも覚えてないはずです。
ジョエルは慎重で冷静です。イラスト入りの日記をつける習慣があるところなど、まめで節度のある人柄なのでしょう。
記憶を除去しても性格は変わっていませんでした。考え方や行動も変わっていないのです。
再会してクレメンタインが再び恋したのは、記憶をなくす前のジョエルと変わっていなかったからだと思われます。
クレメンタインが心をひかれるのは、ジョエルのような考え方を持つ男なのでしょう
クレメンタインの衝動的な行動とジョエルとの再会
衝動的な行動を起こすクレメンタイン、記憶除去も一時の感情に流されて気まぐれに行ったものでした。
性格や行動は変わりませんが、ジョエルがひかれたのも衝動的ではあるけれども天真爛漫(てんしんらんまん)な性格です。
2人の最初の出会いも、再会の時も静かで控えめなジョエルと積極的なクレメンタインの性格の違いがよくわかります。
クレメンタインは、積極的に言い寄ってくるよりも、つかみどころのないと思わせる冷静な男が好みなのでしょう。