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映画「gifted/ギフテッド」は文字通り「与えられた才能」をテーマに置いたある家族を巡るホームドラマです。
ずば抜けた数学の才能を持った7才の天才少女メアリーと彼女を巡る親の教育の在り方を丁寧に描いています。
題材自体は割とありふれたものでありながら、親子の関係が難しい昨今非常に考えさせられるドラマでした。
果たして「才能」を中心にした本作ではどのようにこの永遠の課題たる親子関係を描いたのでしょうか?
本稿ではその中から遺言に込められた想いを中心に考察していきましょう。
また、それに伴いダイアンが自殺した理由、そして結果的にイヴリンが親権を選んだ理由について見ていきます。
giftの意味
まず本作を読み解く上でgiftという英単語への理解は必須です。
日本語では一口に「才能」という言葉で片付けられますが、本来はどのような意味なのでしょうか?
神様からの贈り物
まずgiftという英単語の語源はgive(与える)であり、“神様からその人へ与えられた天賦の才”が本質的な意味です。
「才能」だけなら他にもtalent・genius・abilityとありますが、giftは芸術・学問における天賦の才となります。
本作におけるgiftは数学という学問における天賦の才なので、見事にこの条件を満たしています。
メアリー、そして大人のダイアンの二人は正に数学のgiftを持ったまごうことなき天才なのです。
他の「才能」との違い
折角言及したので、ここではやや英単語としての「才能」の違いについても軽く触れておきましょう。
talentはギリシャ語のtalantという金や銀の重さを量る貨幣の単位が語源で、幾分努力を伴い昇華された後天的な才能です。
geniusはラテン語genus(生む)を語源とする「その人自身の生み出す才能」という内在的なものとなっています。
そしてabilityはable(出来る)を意味する一般的な実務を遂行する能力を指しており、先天的か後天的かは問いません。
「gifted/ギフテッド」においてはこれらいずれとも違った「才能」なので、その意味でもgiftという単語が適切なのです。
親の心と子の心
giftという英単語の語源と中核の意味を踏まえ、本作では親の心と子の心が幾度となくすれ違います。
一体何が原因でどのようなすれ違い、摩擦を生んでいるのでしょうか?
「子供らしさ」「普通らしさ」ということ
まず大きく目立つのは亡きメアリーの母・ダイアンの後見人フランク叔父さんの教育方針です。
彼はやや異様な程メアリーに「子供らしさ」「普通らしさ」という価値観を教え説いていきます。
しかし、メアリーはそれに反して自分勝手に算数でその才能を発揮し担任を困らてしまうのです。
当然そのせいで友達も居ないのですが、メアリーはその程度全く意に介さない精神的強さを持っています。
そう、どんなに教え仕込もうとしても子供は決して親の玩具ではなく親の思うようには育ちません。