先ほどまでの威勢が嘘のようです。なぜ彼は落ち着いてしまったのでしょうか。
それはやはりインドでの僧侶の地位が、日本とは比べ物にならないほど高いからだと思われます。
厳しい修行に耐えた僧侶たちは尊敬の対象ですし、人々に教えを説く立場の彼らを目の前にして強奪をする気にならないでしょう。
また、財宝の中身が書物ばかりだったことから、付随する金なども国の発展のために使って欲しいという考えのもとで入れられた可能性が考えられます。
それらはやはり僧侶に渡すのが本来の姿だと考え直したのではないでしょうか。
ラストを飾る祈りのダンスの真意
作品全体を通してほとんどインドっぽさが出ていませんでしたが、最後はみんなで踊り出します。
ここでやっと「インドとの合同制作だ」というアピールがなされました。
敵も味方もない
ついさっきまで金を横取りしようとしていたランドルも踊り出していますし、スタッフも参加しています。
この踊りは勝利の舞なのではなく、「誰もが平和に」という想いがつまったものなのでしょう。笑顔で踊ってしまえば、敵味方は関係ないのです。
そしてこの踊りには、中国とインドのギクシャクした関係の改善を祈る意味もあったのかもしれません。
シヴァ神
作中に「シヴァの目」や金のシヴァ神の像が出てきました。
シヴァ神は破壊と創造の神として有名ですが、その他にも多くの顔を持っています。そのうちの一つが「踊りの神」としての顔です。
このことも関係して、インドでは昔から歌と踊りが盛んであり、神聖なものなのだと思われます。
中国とインドの関係
この映画はタイトルと見ても分かる通り、中国とインドを舞台としたアクションコメディです。
それにしてもなぜジャッキー・チェンはインドとの共同制作を思いついたのでしょうか。そこには微妙な国際関係がありました。
国境問題
日本にいると日本と中国の関係・日本とインドの関係に目を向けることはあります。
しかし中国とインドの関係にまで意識したことがある人はそれほど多くないと思います。
ですが両国ではこれまで何度か紛争が起こっているようで、国境周辺は緊張状態らしいのです。
人口世界一争い
2020年4月現在中国は人口が世界一ですが、それに次いでインドが二位にひかえています。
しかしいつまでも中国が独占状態を保てるとは限りません。あと何年かするとインドの人口が中国を上回り、一位が交代になるとみられています。
この順位争いも両国をピリつかせている原因でもあるでしょう。
そんなすんなりいかない中国とインドで、映画を制作しようと考えたジャッキー・チェン。
ただのアクションコメディという枠を越えた作品であることは知っておきたいところです。
タイトルの意味
カンフー映画にしてはそこまで戦わないし、ヨガに注目してみても水中に潜るシーンの時だけ。
これでこのタイトル?と疑問を感じた人は多いと思います。