康子が西野の妻に会おうとすると首を振ったり、高倉に西野が父親でないことを離したりと、澪は西野の妨害をしていました。
高倉夫婦を助ける意志は最初からあったのです。
では、クッキーを食べた高倉夫婦(とくに何度も注射を打たれている康子)は、このまま正気を取り戻し続けるのでしょうか。
どうやら効果は「一時的」なもののようです。
なぜ澪は何も言わずクッキーを渡せるのか?
澪が高倉夫婦にクッキーを渡すとき、なんの躊躇もなく渡し、その場をさりました。
この行動から、澪はクッキーの成分を理解していることが分かります。そこで問題なのは、澪はどこで成分を知ったのか、ということ。
西野と一緒に暮らしていると、澪は薬物依存になった人たちにクッキーを渡していたはずです。それには澪の母親も含まれます。
つまり母親にもそのクッキーを食べさせたからこそ、クッキーがもたらす効果を把握していたのです。
そしてそれが「一時的」と判断できたのは、母親がずっと正気を保っているわけではないから。
現に、澪の目の前で母親が殺されるまで、母親は正気を保っているとは思えない様子でした。
つまり「一時的」にでも高倉夫婦に正気を取り戻させ、西野への復讐を遂げさせるのです。
とくに高倉はまだ一度しか注射を打たれていません。
一度正気に戻った後、完全とはいかないかもしれませんが、康子よりは正気を保てそうです。
本多家が殺された日に早紀はいない
本多家の父、母、兄が殺されたのに、なぜ早紀一人だけは生き残っているのでしょうか。
あれだけの完全犯罪を犯し、徹底的に狙った獲物を死に至らしめる術を知っている西野が、早紀を殺さないのはおかしいです。
そこには単純に、一家失踪事件の日付と早紀の予定が関係しています。
早紀は事件当日、修学旅行で一週間出掛けていたことを語りました。つまり、事件があった日に家にいなかったのです。
しかし、早紀が少しずつ思い出す記憶には、電話で家族も薬物を注射されている証言が出ています。
そうなると、次の疑問は「なぜ早紀は注射がされていないのか」ということです。
ただのサイコパスではない
一見西野の殺人は無差別的に行われているように見えます。
しかし、作品内の西野は「ある条件の人」は殺していません。ある条件とは…。
子どもは注射しない
作中に澪に薬物の症状が出ている様子はありません。両親や兄と一緒に連れてこられた設定ですが、少なくとも母親は注射をされています。
さらに本多家では、早紀の両親と兄も同様に注射された時の症状が出ていたことを、早紀が語りました。
早紀が事件に巻き込まれたのが中学二年生、兄は高校一年生。男の子で高校一年生ならば、ある程度以上大人に見えます。
やはり、西野は子どもに対して注射を打つことはしないのです。
子どもにはマインドコントロール
西野は子ども(澪)に対して、恐怖でマインドコントロールを行っています。
だからこそ、恐怖の対象である西野が殺された時、澪は暴言を浴びせかけるのです。
一方早紀は、一家が失踪する3日前に修学旅行に出かけています。映画内でその修学旅行は一週間くらい、と語られていました。
とすると、早紀が帰宅するのは事件当日よりも少し後の計算になります。
さらに事件はすでに起きていたので、警察やメディアも騒ぎ立てており、早紀が自由になるのは遥か先のこと。