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「半沢直樹」シリーズでおなじみの池井戸潤が原作を手掛けた「七つの会議」。
現代社会を風刺したストーリーと、群像劇的に登場する数多くの登場人物達が大きな魅力です。
その一方スト―リーの核心を理解できなかったという人も多いのではないでしょうか。
今回はそんな「七つの会議」というタイトルに隠された意味と、登場人物たちが戦うことになる「組織の闇」に迫ります。
タイトルに隠された2つの意味とは
実は「七つの会議」というタイトルには2つの意味があるといわれています。
どのような意味が込められているのか気になりますよね。ここからはタイトルに秘められた意味に迫ります。
7人の登場人物
まずは作中に登場する7人の人物を表しているというものです。
その7人とは、八角民夫、北川誠、原島万二、坂戸宣彦、「ねじ六」社長の三沢逸郎。
「トーメイテック」社長の江木恒彦、そしてゼノックスの徳山郁夫です。
彼らは作中で不正問題について意見をぶつけ合いますが、その様子を会議に見立ててこのタイトルを付けたそうです。
主な舞台が中小企業であることもあり、「会議」という言葉がしっくりくるのではないでしょうか。
7つの兆候
もう一つの意味と言われているのが、経営者たちの中で話題になっている危険な社風「7つの兆候」というものです。
これは潰れゆく会社に現れる7つの傾向をまとめたもので、以下の7つ挙げられています。
- 経営者が景気の話をする
- 自分の会社よりも他社の事柄に口を出す
- 経営者が自分よりも優れた能力を持った人間を雇わない
- 管理職が多く実行部隊が少ない会社
- お茶を出す部下がいる
- 部下が会議で何も言わない会社
- うちの会社は馬鹿ばっかりだからという経営者
7つの兆候についてタイトルに忍ばせることで、池井戸潤お得意の社会風刺がより強調されていますね。
7つの大罪
登場人物たちは何かしらの欲にまみれているように見えます。それぞれが犯した罪を7つの大罪に当てはめることができそうです。
表のテーマが「会社の不正」だったとすると、裏のテーマは「人間を罪へと導く欲や感情」なのかもしれません。
7つの大罪とは
7つの大罪とはキリスト教における罪の根源のことで、具体的には「傲慢・強欲・嫉妬・憤怒・暴食・色欲・怠惰」です。
例えば「暴食」はドーナツを無銭飲食した新田に当てはまるでしょう。
そして「怠惰」は八角であることはいうまでもありません。
会社の不正を暴いた主人公の八角も大罪を犯していることになります。
その罪とは客に無理やり商品を買わせ、結果として死に追いやったこと。
組織に一人立ち向かったのは罪滅ぼしだったのです。
大罪を犯した結果
この7つの大罪を犯すと物の本質が見えなくなるといわれています。
確かに不正を働いた人物達は自分の責任を誰かに押し付けたり、隠蔽したりしました。
保身に必死になり、自分の犯した過ちが見ていないのでしょう。
人間を罪へと導くこれらの欲望は誰の心にも住み着きます。