出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B07Z75ZS8Y/?tag=cinema-notes-22
「LOGAN/ローガン」「ウルヴァリン:SAMURAI」などで知られるジェームズ・マンゴールド監督。
彼が「1966年ル・マン24時間耐久レース」を舞台に熱い男の友情を主軸にしつつ企業との戦いも描いた作品が「フォードvsフェラーリ」です。
主演はマット・デイモンとクリスチャン・ベール。
レースカーは本物そっくりの高価なレプリカを作って走らせ、クラッシュシーンもCGは一切使わず迫力を演出。
エンジンサウンドも当時のものを再現するなど、マンゴールドの拘りまくった圧倒的なレースシーンが注目されました。
その迫力満点のサウンドと再現性の高い凝った編集に対し、2019年度(2020年発表)の
アカデミー音響編集賞とアカデミー編集賞を受賞(以下略)
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/フォードvsフェラーリ
映像やサウンドの素晴らしさはもちろん、ケンとキャロルの男の深い友情が見事に描かれているところが最大の見所。
その友情を象徴しているように描かれる「レンチ」(映画の冒頭と中間とエンディングに登場)は本作の重要なファクターとなっています。
またル・マンでぶっちぎりでの優勝直前のケンに対しフォードはスローダウンしろ、と命じました。
フォードのその目論見は何か。それに対するシェルビーやマイルズの心の内側も考察してみましょう。
終わったはずの二人の再生物語
実話の持つ説得性
キャロル・シェルビーはアメリカ人で初のル・マンチャンピオンになった男。
しかし、心臓に病気があり医者からレースは禁止されてしまいます。
片や、イギリス人ケン・マイルズも優れたレーサーではあったものの今は「頑固者」の整備屋家業。
修理工場が差し押さえになるほどの貧乏生活を送る身でした。
いわば二人は、すでに峠を超えた(目標を失った)男たちと見ることが出来ます。
やがて彼ら二人が喧嘩しながらも友情を育み自己を再生し不可能に挑戦するところにこの映画の感動と醍醐味があるのです。
シェルビーの思い
キャロル・シェルビーは、自分で「コブラ」ブランドなどの自動車をカスタムメイドする小さな会社を経営し成功していました。
しかし、どうしてもカーレースの世界を諦めることが出来ないようです。
レースには出られなくなったとしても、自分とクルマとの関わりをクルマ作りだけで終わらせたくないという思いは強かったと思えます。
そこに飛び込んきたフォードの誘い。ル・マンの絶対王者フェラーリにアメリカ車で勝つ、そんな魅力的な挑戦があるでしょうか。
しかし、自分は運転出来ません。そこで目を付けたのがケン・マイルズだったのです。
レンチをシェルビーが額に入れて飾った意味
投げつけられたレンチ
旧知であったキャロルとケンはあるレース会場で顔を合わせます。
そこでキャロルがケンを挑発するような言葉を口にしたため、ケンは手に持っていたレンチを投げつけます。
しかし、そのレンチはケンが乗る自分のクルマの風防に当たり、風防が割れてしまうのでした。
フロントグラスが割れたマシンで参加したそのレースで、マイルズは見事なレース運びで優勝を勝ち取りました。
引用:フォードvsフェラーリ/配給会社:20世紀フォックス
キャロルはその果敢で冷静なドライビングテクニックを見て感じるところがあったのです。
彼はそのレンチを持って帰り額に入れ、自分のオフィスに飾ったのです。それがやがて友情の証となっていくのです。
この男の熱さに賭けてみよう
キャロルはあのレースを見てケンのエンジニアの知識も兼ね備えた優秀なドライバーとしての腕を信じることにしたのです。