ここをまず演出した後にそれを打ち破るジェイムス・ボンドという順序がより作品の個性を際立たせます。
ジェイムス・ボンドというと派手なイメージが強いですが、本作では寧ろ渋くダンディな印象です。
その印象をより強くしてくれるのが何よりもこのデタラメな魅力に溢れたオープニングでした。
本作が与えた影響
以後のシリーズも含めて「ロシアより愛をこめて」が与えた影響についても触れておきましょう。
シリーズ最高傑作との声も高い本作は何故未だに影響を与え続けるのでしょうか?
スパイを公権力ヒーローへ
一番大きいのは「スパイ」という暗く後ろ向きのイメージが伴う職業を公権力ヒーローにしたことです。
ジェイムス・ボンドはその後あらゆるスパイヒーローの原型となりました。
日本だとアニメ「ガッチャマン」や戦隊ヒーロー「ゴレンジャー」なども公権力のスパイです。
また「ルパン三世」のような軽妙なノリのスパイヒーローも007がなければ生まれていなかったでしょう。
国内外を含めたスパイヒーローという存在はその後のスパイヒーローの歴史を大きく変えました。
男女の愛は国境を越える
また面白いのはボンドとボンドガールの恋愛が国境を越えるものだということを示しました。
これは人種差別という問題から見ても大きかったのではないでしょうか。
ボンドとタチアナの愛はイギリスとロシアという国境すらも越え、更には組織の枠すら破ります。
男女の愛に国境・人種は関係ないという考えは今でこそ通用する考えですが、当時どれ程難しかったか。
その既成概念を大きく打ち破り、多種多様な国籍や人種のヒロインの登場をも可能にしたのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
前作よりも大幅に様々な要素を強化した「ロシアより愛をこめて」は007のイメージを完成させました。
そしてそれが以後時代と共に変化しながら、また国内外を含むあらゆる作品に影響を与えています。
そのイメージを完成させた本作は今見直すと荒削りな部分も少なからずあるかもしれません。
しかし、それを補って余りある色気溢れるオープニングに強大な敵、それを打ち破るボンドとタチアナ。
数々の魅力に支えられた本作は間違いなく今でも尚愛すべき古典的名作として堂々と存在しています。
007シリーズを語る上で絶対に避けられないまごうことなき名品でありましょう。