出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B078GN9Z51/?tag=cinema-notes-22

北野監督初のシリーズものである「アウトレイジ」シリーズ、本作をもって堂々完結です。

連鎖する暴力を描いた一作目、新組織の台頭と大友の復讐を描いた二作目のその後を描いています。

本作の受賞歴は以下の通りです。

第42回報知映画賞特別賞
第30回日刊スポーツ主催石原裕次郎賞
第41回日本アカデミー賞最優秀音楽賞・優秀録音賞・優秀編集賞
第27回東京スポーツ映画大賞作品賞・監督賞・主演男優賞・助演男優賞・新人賞
第39回ヨコハマ映画祭特別大賞・助演男優賞

引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/アウトレイジ_最終章

さて、そんな幕引きとなる本作は果たして何を我々に見せてくれたのでしょうか?

本稿ではラストの大友の複雑な表情の真意を徹底的に考察し掘り下げていきましょう。

そしてまたエンドロールに映る市川との釣りは何を示すのでしょうか?

タイトルの意味から迫る本作の企図

まず「アウトレイジ最終章」というタイトルから本作が何を目指したのかを迫ってみましょう。

北野武監督が創出した物語の中でも「最終」とつけるからには相応の意味があるはずです。

遺作か?

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「最終章」というタイトルから想像できるのは本作が北野監督の遺作ではないか?ということです。

御年70はもうお召しになっていますし、5年前の「ビヨンド」に比べて演技も演出も覇気がありません。

そのことが批判の対象にもなっていますが、もし遺作だとすればこの覇気のなさにも納得できます。

というのも映画史で遺作となる作品は老境で軽めの作風になることが多いからです。

大友=北野監督の死で飾られる辺りからも「遺作」に感じられても不思議ではありません。

最後だからこそ

精神科医が考えた忙しすぎる人のための「開き直り」の片づけ術 (美人時間シリーズ)

そんな遺作と思しき本作のキャッチコピーが何と「全員暴走」というぶっ飛んだタイトルです。

これに関しては以前より北野監督自身が「自分の無茶は開き直った無茶」だと語っていました。

確かに御年50~70の方々がSMプレイに走ったり釣りのシーンで魚に向かって弾丸を命中させたり。

普通の年寄りではやらないような無茶を開き直りでやってのけています。

しかし、それがあればあるほど尚更死で飾られるあの結末に寂しさがより募るのですが…。

復讐の連鎖

復讐の連鎖 (マグノリアロマンス)

そうした全員暴走の物語を成り立たせているのは大友が起こした復讐でした。

しかし、ただの復讐ならば片岡を討ち取った前作で完結しても良かったはずです。

その復讐の連鎖から汲み取れる意図を考察してみましょう。

復讐という動機の難しさ

前作「ビヨンド」で復活したときから、大友は復讐だけを頼りに生きてきました。

もはや彼の中には義理も人情も何もなく、ただただ情念だけで動いている亡霊です。

復讐という動機は判りやすいですが、簡単には話が収まらないという欠点もあります。

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