一体どのような作りで観客を騙す仕掛けが成り立ったのでしょうか?

タブーに挑んだシャワーシーン

TABOO タブー DVD-BOX

その状態にした上で最初の大きな仕掛けはベイツ・モーテルでマリオンが殺される瞬間です。

白黒とシャワーを効果的に用いてノーマンが殺したのかをぼかすという念の入れようでした。

当時は女性のヌード自体がタブーとされており、直接的な殺人シーンもNGだったそうです。

更にジャネット・リー自身が演じていないシーンもあったそうで、二重の観客を騙す仕掛けがなされました。

そして何よりこのシーン最大の衝撃は観客が感情移入の対象を前半で失ってしまうということです。

主人公と思しき人間が途中で殺されるこのシーンによって大きな不安に駆られます。

善人と思われたノーマン

第二の仕掛けはサムとマリオンの妹・ライラが殺されそうなってからラストシーンに向けてです。

ここでも勿論ノーマンが殺人鬼であったことに不安と恐怖を感じるわけではありません。

彼が奥底に持っているとてつもない性癖と趣味が気持ち悪く感じられるから怖いのです。

その為に剥製趣味や母の死体など様々な要素を丁寧に散りばめ、ラストで一気に回収していきます。

受け手はマリオンが死んだ後の感情移入の対象となるノーマンにまたもや裏切られるのです。

つまり、作品世界と受け手の双方に映像の理屈として不安と恐怖が起こる仕掛けとなっています。

「水」=「死」の連想

水死 (講談社文庫)

もう一つ、「サイコ」においてはシャワー・トイレ・沼・血飛沫など“水”に関する演出も特徴的です。

水は映画において様々な比喩として用いられますが、本作においては特に“死”を強くイメージさせます。

水は人々に癒やしや活力を与えますが、同時に人の命を奪う最大の脅威ともなり得るものです。

海や沼などは特に後者のイメージで使われることが多く、そうした情景への拘りもまたよく出来ています。

タイトルから迫る恐怖の正体

自分を変える心の魔術―マルツ博士の「サイコ・サイバネティクス」

こうして見ると本作が何故わざわざ「サイコ」という単語を用いているのかも判るのではないでしょうか。

元々サイコとは「精神」を意味するラテン語が語源ですから、本作は徹底して人の精神をテーマとしています。

一番怖いのはその「心」が狂わされる時であり、登場人物と受け手の双方に「心」の在り方を問う物語なのです。

不安と恐怖、またそれが具現化した精神異常者や怪物も全てはそこに原因があります。

精神異常者も一人の人間

21世紀の精神正常者たち

映画「サイコ」はノーマンという一人の精神異常者を巡る人間の心の醜悪を問う作品でした。

しかし突き詰めていくと4万ドルを会社から横領したマリオンも多重人格の精神異常者ノーマンも同じ人間です。

我々はついノーマンを他人事として見てしまいがちですが、一歩間違えれば誰もが彼のようになります。

ノーマンだって母親に心を狂わされるまでは決して精神異常者ではなくごく普通の若者でした。

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