ブランドンは、気持ち悪がられるより恐怖の目を向けられる方がまだマシだと思ったはず。だから彼女の手の骨を砕いたとも考えられます。
初めての恋と失恋
愛の反対は憎しみです。初めて恋心を抱いた相手からの仕打ちに、彼の愛は憎しみへと急激に変化したと思われます。
完全に失恋したことを悟ったブランドンは、彼女を痛めつけ、自分の中から恋という淡い想いを追い出したのでしょう。
この失恋が彼の凶暴性をさらに加速させるきっかけになったことは間違いありません。
反抗期に翻弄される親
息子が強大な力を持ち、理解不能な行動を起こすことは現実でも起こります。
子供が大人になる過渡期を、大袈裟ではありますが特殊な力を持つブランドンと両親に当てはめているのです。
だからこそこの作品は両親の目から見たブランドンを描いていると考えられます。
得体の知れない生物
誰もが通る道ですが、親になってみると反抗期の子供を理解するのは難しいです。
自分達の子供であるはずなのに、得体の知れない生物のように感じるでしょう。
ブライア夫妻も反抗期のブランドンを受け入れきれず、殺そうとしました。
ブランドンだけが悩んでいるわけではなく、親も一緒に悩んでいるのだと訴えかけているのかもしれません。
子供への恐怖
特に男の子は力が強くなり、人によっては親を負かしてしまう場合があります。
もしそんな息子が暴力を振るっていたら、親は子供に恐怖を感じるでしょう。
そんな現実に存在する反抗期の子供を持つ親の現状を、映画というフィクションで伝えているのです。
子供は親を受け入れる
唯一の救いだったのが、ブランドンが両親を受け入れる態度を最後まで見せていたことです。
カイルがブランドン殺害のためにキャンプに連れて行った時も一緒について行きました。そしてトーリからの最後のハグも彼は拒否しません。
仮に親が子供を敵とみなしたら、他の誰にも頼れない子供はどうしたらいいのでしょうか。
反抗期の子供は驚異ではありますが、子供は決して親を拒絶しているのではないのです。
まとめ
スーパーマンとは真逆のヒーローとして描かれたブランドンですが、彼は全くの悪ではありませんでした。
ブランドンは反抗期という大人への階段を上っている最中であり、その心は脆く傷つきやすいものです。
この映画は超人的な力を前面に押し出したSFのように見えますが、その本質は家族が反抗期とどう向き合うのかを示しています。
エンターテインメントとして楽しむだけではなく、人間の内面を考察できる作品といえるでしょう。