自分はちゃんと生徒に向き合っていたのか。監督として教育者として間違っていたのか。
そんな答えの見えない疑問が彼の頭から離れなかったのは明らかです。
小渕の成長
ゴルゴと再会するまで、小渕は挫折から立ち直れずにいたように見えます。
自分が挫折に追いやったゴルゴに訪れようとしている死。これはある意味チャンスだったのではないでしょうか。
思い出深いバントサインが、押し殺していた赤鬼の情熱を引き出したのです。心を入れ替えた小渕の前にはゴルゴのような謎の新入部員。
今度こそ誰にも挫折を味わせないと誓ったに違いありません。
報われない努力
赤鬼の指導に反発するゴルゴ。努力すれば報われると説く赤鬼に食い下がります。なぜゴルゴは努力を否定したのでしょうか。
赤鬼を信じたい
ゴルゴは自分が傷つくことを恐れていたようです。
すでに赤鬼の指導によって彼は崩壊寸前でしたが、それでも心のどこかで赤鬼を信じていたように見えます。
もし言われるがまま努力して、その結果が報われなかったら、本当に誰も信じられなくなってしまう。
そんな矛盾した考えが頭に巡っていたのかもしれません。
人生にムダはあるのか
報われない努力=ムダな努力でしょうか?彼は努力の先に成功か失敗しかないと思っているようです。
どんな努力も結果がすぐに現れるわけではありません。5年10年先に、やっと昔の努力が実を結ぶことだってあるのです。
そして努力をした事実自体が本人に大きな影響を及ぼすことを忘れてはいけません。
どのような形であれ努力したことはムダにならず、人生の糧になるのです。
目先の結果しか見ようとしないゴルゴには、赤鬼が指した「努力」の意味が理解できていなかったのかもしれません。
青春の穴埋め
小渕・斎藤・和田が集まったグラウンド。当時を懐かしむようにノック練習をしました。
他の人から見たら微笑ましい光景ですが、本当はそんな単純なものではなかったでしょう。
3人それぞれが挫折を味わい、彼らの青春にはポッカリ穴が開いたのですから。
その穴を埋めるかのように野球に向き合い、やっと自分の素直な心を取り戻せたのだと思われます。
まとめ
青春時代にした挫折の穴埋めをするかのように、グラウンドに集まる3人。
当時は相手を恨んだり、突き放したりと自分の意見を通そうとしてばかりでした。
ですが心に引っ掛かった想いは10年経ってもまだくすぶっていたのです。