出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B07KY68H9B/?tag=cinema-notes-22
池田エライザが主演を務め、オダギリジョーら演技派俳優が脇を固めた2018年公開のコミカルホラー映画です。
生きている主人公よりいきいきとした幽霊たちが心から楽しませてくれる秀作で、毎日放送のドラマイズムやコミック本にもなっています。
TSUTAYA主催の映像コンペで準グランプリを獲得した片桐健滋監督の初長編映画です。
物語の半ばで出てくる古びた赤いミニカーとラストに登場する男との関係性を徹底考察していきます。
雷土家の家訓が『泣くな笑え!』になった理由も合わせて解説していきましょう。
赤いミニカーの謎
線路わきで這いつくばるサラリーマン風の男の幽霊を、八雲御子は見なかったことにして通り過ぎようとしました。
しかし彼の悲痛な声を聞き立ち止まります。
彼はなぜそうまでして車を探しているのでしょうか。
彼が探している車に託された思いを考察します。
線路わきの花束
御子が食事や買い物から帰る道は線路沿いです。
その線路沿いに花が手向けられています。
初めて御子が見たときは枯れた花束がそのままになっていました。
次に見たときは誰か『生きている人』が一心に手を合わせています。
三度目に観たとき『生きていない』人が道に這いつくばって車を探している人と出会いました。
御子に見える幽霊は総じて死んだ瞬間の姿です。
線路沿いのその人(幽霊)は明らかな事故死状態でした。
そこから考察するに、線路脇に手向けられた花束は彼のためのものと思われます。
彼はここで事故によって死んだのです。
赤いミニカーが意味するもの
あの赤いミニカーは20年前に流行っていたのでしょうか。
あまりにも古ぼけていて車種は確定できません。
塗料も剥がれ『スポーツタイプのミニカー』だということだけかろうじてわかる程度です。
20年前息子がなくしたミニカーを帰宅途中の父親が探していて事故にあったと思われます。
それから彼はずっと探し続けていました。
この映画によると幽霊は死んだ場所もしくは魂が宿っている場所にずっと縛られるようです。
20年の長きにわたり探し続けた彼は良い父親であろうとしたのかもしれません。
子供がなくしたという連絡が入り、帰りに探してやるとでも言ったのでしょうか。
必死に探すあまり、下ばかり向いていて車に轢かれたのです。
車に気が付かないほど集中して探していたのでしょう。
でも彼がいまだに探し続けているということは『探す』という意識に縛られた霊であるといえます。
そこから導き出される答えは『即死』です。
ラストに出てくる男とは
最後のシーンで部屋の前に置かれた古ぼけたミニカーを拾い泣き崩れる男がいました。
前後のシーンとの脈略もなくいきなりの登場でしたが、観客は一瞬でそれが誰でなぜ泣くのかを感じ取れたはずです。
彼は誰なのでしょう。
赤いミニカーを見て泣いた理由
間違いなくあの線路沿い幽霊の息子です。
あれから20年経っているので、おそらくは30歳前後でしょうか。