自分の命と引き換えに地球上の人々をエリジウム市民にしたマックス。
どう見ても英雄にしか見えませんが、それは私達が貧困層に感情移入しているからです。
仮に私たちが超富裕層側だったら、何を思うでしょうか。
治安の悪化
多くの移民が自分の住む平和な街に突然押し寄せてきたら、何が起こるでしょうか。
移民は超富裕層への不満を爆発させ、殺人事件が多発するかもしれません。
もしくは超富裕層の家に押し入り、金目の物を強奪するはずです。街の平和は崩れて、治安悪化は免れないでしょう。
犯罪者へ転落
移民流入後のエリジウムは崩壊します。全ての原因はマックスにあり、彼は極刑に値するほどの犯罪者とみなされるはずです。
善悪は立場によって変わり、英雄さえも犯罪者になってしまいます。
一つの視点から物事を判断することに警鐘を鳴らしているのではないでしょうか。
エリジウムの未来は明るいのか
地球上に住む人々の念願だったエリジウム。彼らの目に映るエリジウムの光景は希望に満ちていたことでしょう。
では実際に明るい未来が待っているのか考察します。
地球とエリジウムが同じ環境になる
マックスは地球上の全員がエリジウム市民になった場合について死ぬ前に考えたはずです。
もともと地球上には今いる貧困層と超富裕層が住んでいました。その結果地球がボロボロになったのです。
今度はエリジウムに全人口が集中し、地球の二の前になるのは明らか。何年も経たないうちにエリジウムもボロボロになるでしょう。
新たなエリジウムが誕生
歴史は繰り返すという言葉があります。超富裕層はボロボロになったエリジウムを捨てて、また新たな居住地を開拓するでしょう。
そしてマックスのような人間が再び出現し、その新たな居住地を奪うのです。
人間が物質世界から脱出しない限り、未来は明るくはならないと考えられます。
エリジウムは既に存在する
この映画はSFのジャンルに分類されていますが、フィクションとは言い切れない部分があります。
すでに1%の富裕層が世界の富の80%を独占していることが公にされました。
格差社会はますます広がり、また環境汚染も酷くなる一方です。
まさに私達はエリジウムの一歩手前まで来ているといえるでしょう。
この問題を解決するにはカバとミーアキャットの話がヒントになるのだと、この作品は訴えているようです。
お金や物に執着する時代を終わらせて、心の繋がりを求める時期に来ている。そんなメッセージが込められているのかもしれません。