こののぞみの暴走は、どんな意味を持っているのでしょうか。

殺しの道具にもなる

人に寄り添うAIを作るという目的によって誕生したのがのぞみです。この目的に反した行動をのぞみがとった時、それは暴走と呼ばれます。

しかし仮に浩介が人間を憎み、殺人AIに書き換えたら、それは暴走と呼ぶのでしょうか。

設計者が意図した行動をとる限り、AIが暴走したとは言い切れないはずです。

つまり使う側の考え方次第で、AIは良い物にもなるし悪い物にもなると考えられます。

これはラストシーンで記者が浩介にした質問の答えにもなるでしょう。

人間とAIの対決

のぞみ暴走の原因と真犯人を見つけ出したのは、浩介や合田達です。

浩介の思考力と合田の刑事の勘がなければ、のぞみの暴走を止められなかったでしょう。

結局人間の力で事件を解決したことは、AIに頼り過ぎた人間への皮肉にも見えます。

AI暴走は現実でも起こる

AIは最先端技術だから私達の日常に関係無いと思っているのは危険です。

Googleなどの検索エンジンにもAIは用いられ、個人的な情報を日々読み込んで学習しているのですから。

もし現実世界でAIが暴走したら、どうなるでしょうか。

預金が勝手に引き出されたり、身に覚えの無い借金を抱えさせられることも考えられます。

それだけではありません、電話番号や住所もリスト化されて闇取引されるでしょう。

あっという間に日常が破壊されて、社会機能が麻痺するのは明白です。

この映画で描かれたのぞみの暴走はとても現実的で、すぐにでも起こる可能性が高いと思われます。

観た人に危険性を伝えたいという想いが、のぞみの暴走という形で表現されているのではないでしょうか。

まとめ

AI崩壊 (講談社文庫) (日本語) 文庫 – 2019/11/14

人工知能をテーマにした映画ではAIが自分の判断で行動し、人間の脅威となる作品が多いかもしれません。

そういう意味で「AI崩壊」は人工知能自体よりも、それを扱う人間側にフォーカスしているといえます。

人工知能は素晴らしい技術ですが、使う者によって善にも悪にもなる存在です。

今回登場した人工知能はただの道具にすぎませんでした。それでも人間の生死は脅かされ、社会全体が崩壊しそうになったのです。

現実でも人工知能は私達の生活に溶け込み始めています。そして近い将来、映画に出てきたのぞみのようにライフラインとなるはずです。

ですが人工知能は万全ではなく、本当に恐ろしいのは人間なのだというメッセージが込められているのではないでしょうか。

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