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「かぞくいろRAILWAYSわたしたちの出発」は血縁関係のない家族が挫折を乗り越え未来へ旅立つ希望を描いた映画でした。
修平亡き後、晶と連れ子の駿也が家族としてどう接し生きていくのか、お互いの想いやふれあいから考察してみました。
奥薗家の家族の絆や、担任の先生への祝福の理由などについても言及します。
2018年公開のこの映画は、鹿児島の肥薩おれんじ鉄道を舞台にした「RAILWAY」シリーズの3作目です。
監督脚本は、吉田康弘さん。國村隼さんと有村架純さんがダブル主演を務めました。
晶の駿也への想い
晶と駿也は、修平の故郷である鹿児島で暮らし始めます。血のつながりのない晶の想いや家族の形について考えてみました。
修平の故郷に救いを求めた晶
修平の死後、故郷に帰ってきた駿也と晶。祖父の節夫がひとり暮らしを続けていた実家に移り住みます。
東京で生計を立てていくのは困難だったのです。
修平の突然の死もあって、わらをもつかむ思いで修平の故郷である鹿児島に救いを求めたのかもしれません。
晶には、生前修平からの鹿児島行きの提案を断った経過から後ろめたい気持ちはあったと思われます。
しかし、駿也を育てていくためには他に考えられなかったのです。
駿也の母になろうとする晶の葛藤
一緒に暮らし始めた3人の中では晶だけが血のつながりがありません。
修平がいたからこそ均整がとれていた駿也との関係です。
突然2人になったことや見知らぬ土地で暮らすことへの不安はありました。
晶には、本当の母のように駿也の面倒を見ることが心の支えだったのです。
ただ、駿也を気づかい母親代わりになろうとしても、血縁のない晶にはどうしても越えられない親子の壁がありました。
学校で他の生徒にけがを負わせてしまった駿也への対応も、まずは駿也を信じてけがの原因を聞くべきだったのです。
本当の母親にはなれない挫折感に悩まされる晶。
今の家族の中でどう振まったらよいかわからない葛藤が晶に重くのしかかったのです。
無くしたものの大きさと得られた駿也との親子愛
半成人式での1件は生活のすべてを失ってしまうほどのショックだったのでしょう。
晶は駿也の言葉にいたたまれなくなり、東京へ戻ってしまいました。
駿也に修平が死んだことを諭しながらも、まだ自分も修平の死を心では受け入れていないことに気が付きます。
東京で駿也と携帯電話で話をしたとき、晶は駿也の声を聞いて1番大事なものが駿也とのつながりであることを悟りました。
携帯の連絡先の名前を修平から駿也へ変えた晶。
亡くなった修平への想いに区切りをつけ、駿也と自分なりに向き合っていく決意を固めたのです。