リリィは復讐を誓うと同時にそれまで着用していた高校の制服も脱ぎ捨てました。
更に彼女は元の石動律花という名前すらも完全に過去のものとして捨て去ったのです。
ここまでした真意は一体何なのでしょうか?
「人間」であることの欠落
まず制服を脱ぎ捨てたのはリリィに「人間」であることの欠落を経験させるためでしょう。
名前すらも捨てたということは完全に彼女は黒狐という復讐鬼となったことを意味します。
即ちもう普通の人間の生活は捨てて境界線の向こう側で生きることになるのです。
つまり彼女はこの瞬間に忍者として純化したともいえます。
全身を覆う黒のスーツがその闇に染まった何よりの証でしょう。
継承
一番大切なのはリリィが父の忘れ形見のアニマル・ドローン、祖父の黒装束を受け継いだことです。
制服を脱ぎ捨て復讐に走っても父と祖父への愛は強く心の中に持っていました。
本作においては「復讐」とは別に「継承」という要素もまた同時に強く持たせています。
この「継承」という要素は彼女が復讐を昇華していく上で必要不可欠な要素です。
時代劇という文脈では特に「継承」という要素をどう盛り込むかは大事になります。
制服を捨てさせてもこの辺りの芯を外していません。
メリッサの重要性
そんなリリィが復讐を乗り越え正当な形で想いを継承出来たのはメリッサの存在もあるでしょう。
彼女は家政婦のような存在でありながら、同時にリリィにとっては数少ない安心出来る一人でした。
特にメリッサがリリィに助けてくれた礼をいうところは彼女の人間性が非常に強く出ています。
リリィ、ミアが戦士として純化している中で彼女のような花、癒やしの存在は大きかったことでしょう。
メリッサが居なくて孤立無援だったらリリィは復讐に走った挙句身を滅ぼしていたのではないでしょうか。
真の忍者になるまでの物語
いかがでしたでしょうか?
本作はリリィという一人の復讐鬼が戦いを通して真のBLACKFOXに目覚めるまでを描いた物語です。
黒幕が最後に明らかとなり、挑む所で終わっていることから続編の構想もあるでしょう。
チャンバラ時代劇を現代風に再現しつつ、同時に真のヒーローになるまでを描きました。
だからこそ最後にリリィとミアが笑顔を見せる場面が最高のカタルシスとなるのです。
続編が出たとしたら是非真の忍者となった彼女達の大活躍を期待しましょう。