そんな彼をトランブル大統領は何と長官へと抜擢・任命します。
葛藤の末に引き受けたマイクですが、そこにはどのような真意があったのでしょうか?
約束と責任
一番はやはりトランブル大統領との約束と責任がマイクの中にあったからではないでしょうか。
非常に義理堅い人間ですから、どんな形であれ一度かわした約束や責任はきっちり守ろうとします。
ましてやトランブル大統領だって決していい加減な気持ちで決断したわけではありません。
それ程の重さを右腕として分かっているからこそ、マイクも引けなかったのでしょう。
マイクの正義感、プロの根本はやはり他者から寄せられる期待と信頼の上にあります。
生き延びる
そして何よりマイクに一番響いたのは「マイクがいないと生きていなかった」という言葉でしょう。
本作では文字通りマイクとトランブル大統領は生死の境を彷徨い地獄の苦しみを味わった仲です。
一番の信頼を寄せる相手にそのような言葉を向けられたことがマイクには最大の報償でありましょう。
世間の賞賛する「かっこいい」などとはまるで違う彼の人となりを身近で知っている人の言葉です。
そうした実体験を含んだ言葉こそがマイクに辞職を思いとどまらせたのではないでしょうか。
痛み無き所に成長なし
前作まででマイク・バニングという一人の英雄と彼のキャラ自体が一つの完成を迎えました。
しかし、それは同時に物語としては一つの停滞を意味するという危険な側面でもあったのです。
マイクがよりそこから跳ね上がっていくためにはより絶望的な苦境に追い込む必要があります。
そこで彼には一度英雄とは真逆の犯罪者にすることで強烈な痛みを与えたのでしょう。
そこから這い上がる様を描き、痛みという痛みを描くことで最後にはより上のステージへ行けました。
人間痛み無き所に成長はなく、それ相応の苦しみが経験として必要なのです。
更なる高みを目指す為に
本作「エンド・オブ・ステイツ」は主人公マイクをとことん地獄まで追い詰めた物語です。
それは恐らく「エンド・オブ」シリーズ自体がより高みを目指す為に必要な作業だったのでしょう。
どのようなシリーズものも続けていく為には一度築き上げた土台を解体しなければなりません。
そうやって既存のレールと真逆のことをやることでより強い刺激を入れることが出来るのです。
その意味で本作は一度完成したシリーズそのものの解体と再構築だったのでしょう。
ここから更なる高みを目指す為には絶対に見逃してはならない一作であるに違いありません。