ベルボーイに変装して逃げる際、頼まれた交通誘導を素直にやるあたりに彼本来の人の良さが滲み出ています。
それぞれの『正直に生きる道』とは
正直な気持ちがずっと言えなかったチェリーは仲間に背中を押され本来の自分を取り戻します。
彼女の正直な生き方とは歌いたい歌を歌うということです。
諦めではなく吹っ切ることの大切さを教えてくれるシーンでした。
客室係のハナは『オヤジ』との会話の中で自分の本当の気持ちに気付きます。
そして勇気をもって正直に生きる決心をしたのです。
筆耕係の右近は新堂のリクエストに開き直ったからこそ芸術的作品を生み出しました。
チェリーもハナも右近も『生きるため』と自分に言い聞かせ気づかない振りをしていた本心を解き放ったのでしょう。
生きている中で知らない間に背負っていたいろいろなものを捨てる勇気さえあればもう怖いものは無いのです。
今の自分のままではダメだと思っているなら欲や見栄や逃げの心を捨て正直に生き直すしかありません。
憲二の歌が周りに与えた影響とは
徳川善武の部屋で歌った憲二の不思議な歌は聞いた人々に影響を与えました。
なぜかヘビー・ローテーションしてしまうこの歌の秘めたる力は何だったのでしょうか。
『天国うまれ』に影響を受けた人々
徳川善武は死にたいほど落ち込んでいた気持ちがこの歌のお陰で晴れました。
歌詞の内容ではなく印象に残る3拍子のメロディーに影響を受けたのです。
憲二にはプロは無理と言いながらも『新曲』として歌おうとするなどかなり気に入っていましたね。
そして隣の部屋の武藤田勝利はその歌詞に心を打たれます。
「あきらめてしまえ」「あきらめるな」という部分に自分の境遇や政治家になった時の初心を噛みしめたのです。
そして武藤田は汚職を全部ぶちまけようとした自分も『本当の自分』ではないことに気付きます。
彼の正直な気持ちは政治家を辞めたくないということだけでした。
名曲『天国うまれ』
「2回聞いたら忘れられない曲」という三谷幸喜監督の要望に甲本ヒロトが見事に応え出来上がったのがこの曲です。
AとDとEという3つのコードだけで構成されたメロディーはなぜか耳に残ります。
ブルーハーツとして、またソロになってからも強烈な印象を刻んできた甲本ヒロトならではの曲ですね。
ギターを弾けない香取慎吾は演奏シーンのためにかなりの特訓をしています。
ハナの助言の意図を深読み
インパクトが絶大だった客室係ハナの言葉は武藤田に大きな影響を与えました。
「言いたい奴には言わせておけ」や「正直に生きる」というハナの言葉にはどういう意図があったのでしょう。
ハナとなおみ
なりすましがばれた後、小原なおみの部屋で本人に向かって言いながらも自分で何かに気付くシーンがひとつ目の鍵です。
ハナはなおみの中に自分を見ています。
なおみに言いながらも同時に世間の目を気にしていた自分に言い聞かせた言葉です。
二つ目の鍵は『オヤジ』との会話です。
『オヤジ』に向かって段々と自分の中にある正直な気持ちを再確認していきます。