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スティーブン・チョボスキーの原作小説を2012年に実写映画化した「ウォールフラワー」。
原作者自ら監督を務めたことが大きな話題となり、主演はローガン・ラーマンやエマ・ワトソン、エズラ・ミラーです。
あらすじはスクールカースト最底辺の、まさにWallflower(壁の花)という名が似合う主人公チャーリーの話。
孤独を抱えた彼が仲間達と関わっていく中で様々な葛藤や挫折を経験し乗り越えて強くなっていきます。
本稿ではそんな孤独なチャーリーが手紙を書いた相手をネタバレ込みで考察していきましょう。
またキスで崩れる仲間の関係性や車の中で3人が語り合う未来の真意についてもじっくり見ていきます。
原題の意味
まず本題を考察していく前に、原題“The Perks of Being a Wallflower”について掘り下げてみましょう。
直訳すると「壁の花であることの特典」という意味であり、一見内容に反しているようなタイトルです。
というのも、本作の壁の花であるチャーリーは最後の最後まで苦難や挫折が続く格好となっています。
どうしてPerksなのかというと、これは壁の花だからこそ通常では経験しないものを得られるからです。
神様は人間に乗り越えられる試練しか与えないといいますが、チャーリーも例外ではありません。
そのPerksとはいうまでもなく彼の理解者となってくれるサムとパトリックのことです。
この得がたい最高の特典を如何にして手にしていくのかが本作全体を通して描かれています。
チャーリーが手紙を書いた相手
本作はチャーリーが冒頭で「友達」へ向けての手紙を書くシーンから始まります。
その「友達」とは架空の人物ですが、果たして誰のことなのでしょうか?
内容も含めてその正体へと迫ってみましょう。
女の子とは誰なのか?
まず気になるのは手紙の中で言及している「探そうとしないでくれ」と頼んだ女の子です。
この女の子は後に彼の理解者となってくれるサムだと判明しますが、まだ出会っていません。
なのに未来を予見したかのように想像を膨らましながら書くというある種の予祝になっています。
となると、チャーリーが書いている相手は間違いなく自分の未来を遠くから見ている人物になるでしょう。
自殺したマイケル
具体的な言及はないものの、一つの可能性として自殺したマイケルへ宛てた手紙という可能性はあります。
マイケルはチャーリーが高校入学する2ヶ月前の春に自殺してしまい、チャーリーの人生を狂わせました。
後に判明することですがマイケルは自身に降りかかる不幸は全て自分のせいだと追い詰める節があります。
そうしたことを踏まえるとまずは親友・マイケルへ感謝と懺悔を色々ぶちまけていたのでしょう。
自殺した彼の人間性を考えるとそういう手紙であったとしてもおかしくありません。
心の中の自分自身
そしてもう一つ、手紙を宛てた相手は心の中にいるチャーリー自身という可能性が浮上してきます。
というのもチャーリーは学校にも、そして家庭にも居場所がなく理解者が居ませんでした。
となると、自分自身を客観化して第三者視点のように手紙を書くことで友達を自分の中に作るのです。
よく過去や未来の自分に手紙を宛てて書くことが多いですが、行き詰まった時のリマインダーにもなります。