出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B00HY0CGSS/?tag=cinema-notes-22

本作はジョセフ・コシンスキー監督による2013年公開のSFミステリー映画です。

主演にはトム・クルーズというモーガン・フリーマンといういわずと知れた実力派俳優を据えています。

荒廃した2077年の地球を舞台にジャックとヴィクトリアはエイリアンの侵略から世界を守るのです。

しかし、二人は過去の記憶が抹消されており、話を追う度に真実へと迫っていきます。

そこで、本稿ではネタバレ込みでテットとジャックの正体を深くまで掘り下げていきましょう。

また、ヴィカが殺された原因やジャックが悩まされた不思議な夢の中身にも迫っていきます。

原題の意味

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まず本題に入るまでに原題“Oblivion”の意味について考察していきましょう。

本作において忘却の対象となっているのは主人公のジャックとヴィカです。

面白いのはジャックが過去の記憶だけではなく、自分が何者か?すらも忘れてしまっていることです。

かつそれですらも全てある者から与えられ操作されたものであり、自然消滅ではありません

それをあたかも自然消滅であるかのように謳っているのが本作の恐ろしい所です。

その恐ろしさをこれからじっくり解き明かしていきましょう。

テットとジャックの正体

本作最大の見所は後半に向かって明かされていくとテットとジャックの正体です。

何とジャックが住んでいた地球や宇宙船、人類の敵の存在などが全て架空だと明かされていきます。

その中で判明していく彼らの真の姿をじっくり掘り下げていきましょう。

テットはHALのオマージュ

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テットの正体はジャックらに偽の記憶と嘘の情報を促して彼らに人類滅亡をさせようとした宇宙船の人工知能でした。

SF映画でこのような暴走した人工知能といえば「2001年宇宙の旅」に出てくる人工知能HALが連想されます。

恐らくは意識的にオマージュを行い、かつ暴走した結果とうとう人間を支配する側になってしまったのです。

いうなればテットはHALの継承者にして「もしHALの暴走が成功したら?」というIFだといえるでしょう。

その意味では本作もまた「2001年宇宙の旅」の正当なる後継者といえる作品かもしれません。

米国の暗喩

また、テットの場合一番タチが悪いのは表向き宇宙人が戦争を仕掛けたかのように見せかけていることです。

それすらも全部人類滅亡を成功させるための作られた設定に過ぎず、まさに善人の振りをした悪人でしょう。

ジャックが最初敵だと思われたマルコムにこの事実を聞かされるまでは受け手も完璧に騙された格好です。

最終的にテットが作り出した偽物の善悪は逆転しジャック達は打ち勝ちますが、これは現実の米国の暗喩でしょう。

テットはいうなれば世界を股にかけて正義を振りかざし好き勝手やっている米国の揶揄・皮肉を含んでいます。

表向き善人の振りをしておきながら、裏では幾らでも過激な戦争や侵略を考えているのです。

それをバレないようにスマートに見せている所がまたテットというAIの設定がよく出来た部分ではないでしょうか。

ジャックの正体

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そしてマルコムから真実を聞かされたジャックは何と嘘の情報を与えられ騙され続けていた一番の被害者です。

しかもそれにとどまらず、彼はオリジナルのジャックではなくジャック49号という名のクローンでした。

単に自分が信じていた世界が全て虚構だというだけならまだしも、自身の存在すら虚構に過ぎません。

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