またこの映像の所有権は政府にあります。それをメディアに売ることで政府の収入とし、メディアはそれを放映して収入を得ます。
結局パージの実施により、富裕層は新たなお金を稼ぐ手段を獲得したのです。
なぜ貧困層が排除されるのか
パージへの参加は強制ではありません。貧困層の人々もパージを実施する地域から逃げ出していいのです。
しかし、なぜ貧困層の人々はパージが実施される地域に残っているのでしょうか。
さらに、なぜ貧困層の数が減るようなシステムなのでしょうか。
セキュリティーの弱さ
当然富裕層は、殺人が合法化した地域から逃げ出します。それには車や鉄道、飛行機などを使うでしょう。
さらに逃げた先での滞在費用も必要です。貧困層にそのような費用はありません。
貧困層はパージが行われる地域に残るしかないのですが、犯罪の被害に遭わないためには家のセキュリティーを強化する必要があります。
では、そのセキュリティーを強化するために何が必要かというと、お金が必要なのです。
結局のところ、貧困層にその費用を捻出することが難しく、パージの犠牲になるシステムが出来上がっているのです。
お金が必要な貧困層
ディミトリが姉のナイアに嘘をつき、コンタクト(パージ積極参加の証)をしてまでパージに参加するのなぜでしょうか。
それは、お金を手にしてボロアパートから脱出するためでした。
貧困層にとってパージが行われる地域に残ることでの報酬、さらには積極参加することの追加報酬は魅力的な話です。
これはナイアの口からも語られていました。
金持ちはとっくに逃げた。でもNFFAは知っている。私たちみたいな貧乏人はお金のために残るしかないって。
引用:パージ:エクスペリメント/配給会社:ユニバーサル映画
やはり貧困層がパージが行われる地域に残ることをNFFAも分かったうえで「自由参加」としているのです。
自由参加なので人権にも配慮しているように見せかけ、半強制的なシステムを作り上げパージ法を制定する。
これがNFFAのパージ制定の目的です。
NFFAの支持母体
NFFAという政党を支持する母体が、映画冒頭で少しだけ語られています。
この政党を支持しているのは「全米ライフル協会」とニュースキャスターは伝えていました。
銃の使用が正当化
アメリカの銃規制に対する声は、銃による大量虐殺事件が起きるたびに広がっています。
しかしパージ法を制定することで、全米ライフル協会の主張が世の中で通り、銃の使用は正当化されるはずです。
人々が銃規制を望むと、当然全米ライフル協会は批判の対象となり、銃に関連した企業も利益を獲得することが難しくなるでしょう。
もしもパージ法が制定されれば人殺しのための銃は必需品となり、当然銃を売るために関連産業は利益を獲得できます。
つまりNFFAは支持母体が全米ライフル協会であるがために、パージ法を制定させなければならないのです。
新たなビジネスチャンスも増える
犯罪が起き、命や財産を失う恐れがあるのであれば、当然各種保険会社もそれに向けたサービスを展開させるでしょう。
パージが地域を指定する以上、富裕層はその地域から逃げ出さなければなりません。
しかし家などの財産は放置するほかなく、それらが傷つけられる可能性があります。
もしもそうなった時、富裕層は補償してくれる保険会社を望むはずです。つまり、新たなビジネスチャンスが出現します。
パージ法の制定は、銃関連会社や保険会社といった富裕層が営業している会社の利益につながるのです。