ビジネスにおいても、そして恋愛においてもそうですが、“若さ”も所詮賞味期限付きの武器です。
若さだけで持て囃されるのは男性も女性も20代前半、まあギリギリ20代後半まででしょうか。
しかし30代を過ぎると自然と若さは衰えを見せ始め、同時に年相応の振る舞いが求められます。
特に昨今はその辺がより厳しくなり、若さ故の可愛さ・カッコよさなど何の武器にもなりません。
本作に登場する4人の男女が持つ若さも所詮は今この時だけの武器でしかないということでしょう。
特に25歳の誕生日を迎えた警官223号はその賞味期限つきの「若さ」を喪失したという面で非常に象徴的です。
孤独を埋め傷を癒やすもの
本作の警官2人、そして彼らと偶然出会う金髪女と飲食店の新入り女性店員はいずれも孤独な人たちでした。
彼らは孤独故に寂しさを感じ、そして傷を癒したい・癒してほしいと感じているようです。
ではその孤独を埋め傷を癒やしてくれるものは果たして何なのでしょうか?
酒
まず1つ目に大人の象徴でもある「酒」、これが失恋した223号の傷を癒すものとして登場しています。
酒は人と人を結び付け、またときにこうして人間関係の傷やストレスを癒してもくれるのです。
逆にいうとお酒があれば大人の人間関係はある程度誤魔化しが効くものになっています。
勿論酒が全てではありませんが、少なくとも223号にとっては失恋の孤独を埋めてくれるものです。
部屋の私物
後半のフェイが取っていた行動に見受けられますが、部屋の私物もまた孤独を埋めるものの象徴です。
フェイは663号が持っていた合鍵を勝手に盗み、部屋に不法侵入して部屋の私物を全て自分好みに変えます。
しかもお気に入りのCDを「夢のカリフォルニア」に替えるなど、やっていることは完全にストーカーです。
彼女は誰かと共有できない好みや趣味を自分の好きな人に押し付けることで共感を得ようとしたのでしょう。
その癖663号が自分の気持ちに気が付くと遠ざかっていくのですから、面倒くさいことこの上ありません。
このように自分の好みを部屋の掃除や私物の入れ替えという形で押し付けるのもまた傷を癒すものでしょう。
金髪のカツラとサングラス
そして1番感情が見えにくい金髪女がつけていたサングラスと金髪のカツラも孤独を埋める小道具です。
ハリウッド映画などでは金髪とサングラスは出来る大人っぽく見られます。
しかし、それは裏を返せば内面の孤独や傷を覆い隠すための自己防衛の道具でもあるのです。
用いた理由は麻薬取引の際仲間のインド人から持ち逃げされるという裏切りを食らったからでした。
大人になったら誰もがつける建前という名の仮面もまた孤独を埋めるものなのです。
感傷的な男達の心理
本作に出てくる警官2人はその情けなさを包み隠すことなくさらけ出しています。
しかしながら、その感傷的な男たちからはある種の生き様や心理を感じるのです。
ここでは彼らがどういう心理で動いているのかを見ていきましょう。
自己充足
まず2人の警官に共通しているのは失恋の痛みを夜遊びなどで充足させていることです。