出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B07J1135Q1/?tag=cinema-notes-22
ディラン・オブライエン演じるミッチ・ラップが、派手なアクションを繰り広げる『アメリカン・アサシン』。
マイケル・クエスタがメガホンを取った本作ですが「アサシン」という言葉に疑問が出るほど、ミッチが暴走します。
というのも、マイケル・キートンが演じる鬼教官スタン・ハーリーの命令を無視しまくるからです。
実はミッチがここまで暴走するのには、恋人の死が関連しています。
恋人はビーチでテロリストに殺されましたが、その死はミッチにどのような影響を与えたのでしょうか。
さらに気になるのは、シーヴァ・ネガー演じるアニカの死について。
突然アニカが死んだため、死因やそこに至る理由が全く分かりませんでした。
またアニカの死に関係するテイラー・キッチュ演じるゴーストは、何の目的で核を持ち出そうとするのでしょうか。
今回は「恋人の死がミッチに与えた影響」「アニカの死」「ゴーストの目的」に迫ります。
憎しみが攻撃性を高める
「アサシン」は「暗殺者」という意味がありますが、本作主人公ミッチはCIAという機密性の高い組織の一員でありながら、暴走します。
そのためアサシンという言葉が似合わない人物として描かれていますが、そこには無差別テロで亡くなった恋人が関係しているのです。
一度狂うと止められない
映画の中で、攻撃的になると自分でも抑えが利かないミッチの姿が描かれます。
例えば、映画冒頭の総合格闘技でやりすぎた場面やCIAに殺されたテロリストのマンスールに、何度もナイフを突き立てる場面。
なぜ攻撃的になると止められないのかというと、恋人の死のショックがフラッシュバックを起こし、憎悪が心を支配するからです。
ミッチは恋人を、イスラムテロリストに無差別に殺されたばかりか、目の前で銃を撃たれます。
ただでさえ恋人を失う辛さの上に、目の前でとどめをさされたことに、ミッチは尋常でない憎悪をテロリストに抱きました。
そのため「悪」の組織や人など、自身の攻撃対象となり得る人物に対して容赦なく暴走してしまうのです。
信頼関係が作れない
ミッチが尋常でない攻撃性を見せたシーンの一つに、アニカへの攻撃がありました。
アニカが知らないはずの「ゴースト」という名前をアニカ自身から聞いたとき、ミッチは怒り狂ってアニカを攻撃します。
それまでCIAとしてチームを組んでいた相手にすら、ただの疑いだけで首を絞めたり、水攻めにしたりするのです。
味方でさえ信頼しているようで、信頼していない。
アニカに対する攻撃は、ミッチと人間関係を作ることの困難さを示すシーンであり、その背景として恋人の死があることを象徴するシーンでした。
攻撃をする大義名分を得られる
映画冒頭でイスラムテロリストのマンスールを殺害した時点で、ミッチの復讐は完了したはずでした。
しかし、恋人の死のトラウマはミッチを開放するわけではありません。ミッチが持つ他者への攻撃性は、まだ残っているのです。
銀行にやってくる核の技術者を張り込みするシーンで、スタンはミッチの心を読み取ります。
お前のような奴や俺のような奴は理想が必要なんだよ。いわゆる大義ってやつだ。
引用:アメリカン・アサシン/配給会社:ライオンズゲート
ミッチのトラウマだらけの心は、CIAという機密組織にいることである程度の形を得られるのです。
むしろトラウマだらけだからこそ、この組織に所属し続けられているのかもしれません。